特急ひだ 振り子。 JR東海キハ85系気動車

理由は「高性能すぎる」 新型車両開発中止

特急ひだ 振り子

概要 [ ] により発足したJR東海は、国鉄から引き継いだを、名古屋から飛騨・南紀方面の非電化線区の特急列車に運用していたが、老朽化が進んでいた。 そこで、キハ82系の置き換えおよび所要時間短縮 のために開発されたのが本形式で、から製造された。 1989年2月からの特急「」に使用され、からはの特急「」にも使用されている。 1989年のグッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会)に選定され、にはを(JR東日本)と争ったが、次点となった。 外観デザインは手銭正道、戸谷毅史、木村一男、松本哲夫、福田哲夫による。 本系列における意匠をはじめとする基本構成は、以降のJR東海で新製される用車両の多くに基本仕様として踏襲されている。 本系列で運用される特急列車の名称には、頭に「ワイドビュー」が冠されている。 これは1738通の一般応募をもとに決定した。 この「ワイドビュー」は、その後新型特急電車が投入された「しなの」や「伊那路」、「ふじかわ」にも冠されるようになった。 仕様・構造 [ ] 車体 [ ] (東海道本線名古屋-尾張一宮間、1993年2月11日) この音声や映像がうまく視聴できない場合は、をご覧ください。 車両軽量化とメンテナンスフリーのため、車体はを用いた軽量構体を採用する。 外部塗色は、側窓の上下にダークグレー、その側窓下部にはJR東海のであるオレンジと白の帯を車体全体に巻いている。 それ以外は無塗装である。 先頭部は衝突事故がおきたときなどに復旧が難しいため製とし、腐食防止のために白色塗装を行っている。 観光路線である高山本線や紀勢本線への投入が前提であったことから、眺望性の確保について様々な配慮がなされている。 非貫通型先頭車は傾斜を付けた流線形とし、三次曲面のフロントガラスと運転台上方の()を採用し、後部を全面ガラス張りとしたうえで前面展望を確保している。 貫通型先頭車についてはやや緩い傾斜となっているが、両端の前面窓は側面に回り込む大型のパノラミック・ウィンドウとし、他の車両と連結する際には特殊な形状をした幌を装着する。 デザインテーマは「自然界と調和する『あたたかさ』と、未来を想像させる『宇宙感覚』」というものだったが、JR東海の車両部車両課担当課長である森加久見によれば「高山地区だと、南紀方面だととか、曲面になった特産物をデザイン化して先頭の形状が決まった」と後年インタビューで述べている。 先頭車前面には列車愛称幕が設置され、非貫通型はフロントガラス下部の運転席側(正面から見て右側)に横寸法の長い長方形状のもの、貫通型は貫通扉の窓下に正方形に近い長方形状となっている。 は列車愛称・行先用と号車・座席種別用を上下別に配置している(キハ84-300のみ左右別配置)が、後者を式としている車両(初期車)もある。 「ひだ」運用時の方向幕 室内設備 [ ] 側窓からの展望のために、通路と座席の間に20 の段差を設け、窓の縦寸法は95cmに拡大された。 一部の車両では対応として段差をなくし、車両番号を1100番台または1200番台として区別する。 のの前後間隔(シートピッチ)はキハ80系の91cmから100cmに拡大した。 はで、従来の特急形気動車のように編成中の特定車両に搭載されたディーゼル発電機から冷房装置への電力を供給する方式と異なり、編成構成の自由度が向上している。 は2種類あり、一つは「ひだ」用に製造された中間車に組み込まれた、普通車合造の半室グリーン車(キロハ)であり、横4列配置でシートピッチを116cmとし、定員確保がなされている。 もう一つは「南紀」用の先頭車として製造された全室グリーン車(キロ)で、こちらはある程度定員がとれることから横3列配置でシートピッチを125cm としている。 現在「キロハ」車両は「ひだ」号及び「南紀」号とも定期運用時に連結されており、「キロ」車両は「ひだ」編成10xxD列車(富山発着編成)の定期運用に使用されている。 日本国外の設計によるエンジンは、に用のエンジンが日本でされた例があるが、気動車用としては例のない試みである。 これは、所要時間を短縮するために時速120kmで走行でき、起動加速度を増やすためには、小型で高出力のエンジンが望まれ、国内も海外も調べた結果、要望に合致した性能を有していたのが海外製だったのである。 採用されたのは、のディーゼル機関メーカーである社の直列6気筒・排気量 14 の直噴式ディーゼル機関 NT-855 系 である。 高出力の駆動機関と自動制御化された多段式(製C-DW14A 変速1段・直結2段 自動式)と組み合わせることで、著しい速度向上を成し遂げ、「に匹敵する性能の気動車」と評された。 ブレーキ装置 [ ] キハ80系のに対して応答性に優れるが採用され、・コンバータブレーキも装備する。 これは気動車として初めて電気指令式ブレーキが採用された事例である。 台車 [ ] は付きボルスタレス台車のC-DT57形が採用された。 これは国鉄時代ののDT55台車をベースに、車体をつなげる牽引装置を振動が少ないものに改良している。 線路に接するは「円弧踏面」と呼ばれる、カーブに強い形状にしている。 各形式 [ ] キハ85形 [ ] キハ85 1100番台の改造された車椅子対応の洋式トイレ。 0番台(1 - 14) [ ] 「ひだ」用として製造された非貫通タイプの普通先頭車。 先頭部は大型曲面ガラスとルーフウインドウによって構成され、前面展望に配慮してある。 定員60名。 100番台(101 - 119) [ ] 「ひだ」用として製造された貫通タイプの普通先頭車。 幌アダプタを取り付けることで貫通路を構成することが可能。 定員が0番台と同様のため、共通運用されることも多かった。 定員60名。 107は後述の落石衝突事故によりとなり、代替として119が新製されている(台枠および機器類は廃車された107から流用)。 より対策改造が施され、後述の1100番台へ改番したため番台消滅。 200番台(201 - 209) [ ] 「南紀」用として製造された貫通タイプの普通先頭車。 車体の仕様は100番台と同一だが、男子用小便所を設置したため定員が減少し56名となった。 209は100番台と同様にバリアフリー対策改造が施され改番されている。 1100番台(1101 - 1106・1108 - 1119) [ ] 100番台をバリアフリー対応改造した形式。 高床構造であった車内座席を一部改造し段差をなくした車椅子対応座席を配置、トイレも車椅子対応の洋式に改造したもの。 に登場した番台区分。 現在は100番台全車に施工済み。 改造時点で種車が廃車となっていた関係で1107のみとなっている。 1200番台(1209) [ ] キハ85形1100番台と同様のバリアフリー対応改造を209に施工したもの。 キハ84形 [ ] 0番台(1 - 14) [ ] 「ひだ」用として製造された普通中間車。 準備室・・が設置されたが、トイレはない。 電源容量確保のためインバーターを2基搭載している。 定員68名。 1と2はの「」先頭車とが重複していた。 200番台(1 - 5) [ ] 「南紀」用として製造された普通中間車。 カウンター付の車内販売準備室を備える。 当初より車椅子対応設備を持ち、客扉や車内仕切扉の幅が広くなっている。 定員64名。 300番台(1 - 5) [ ] 「南紀」用として製造された普通中間車。 車販準備室がなく、車椅子対応設備も持たない。 そのため当系列では最大の定員72名を誇る。 この番台のみ前述のように方向幕の配置が異なり、客室窓の上に左右並べて取り付けられている。 キロハ84形(1 - 10) [ ] 「ひだ」用として製造された、グリーン・普通車の合造中間車。 車掌室・トイレを備える。 定員56名(グリーン席32名・普通席24名)。 のちに「南紀」にも使用。 キロ85形(1 - 5) [ ] 「南紀」用に製造された非貫通タイプのグリーン先頭車。 洋式トイレ・男子小用トイレ・業務用多目的室・公衆電話を備える。 定員30名。 のちに「ひだ」に転用。 運用開始時点では1往復のみの充当であったが、翌1990年3月10日のダイヤ改正にてすべての「ひだ」に運用されるようになった。 3月16日ので、から高山本線に乗り入れていた特急「」がキハ85系との併結を前提とした仕様のに置き換えられた際、季節運転の「ひだ」と併結して運転されるようになった。 その後、からは定期運行となった「ひだ」と併結し、9月30日の「北アルプス」(高山本線乗入れ)廃止まで続いた。 過去にはとして「(太多・四日市・岡崎)」にも使用されていたが、これらが一般列車に変更されたため2012年3月改正後は使用されていない。 2018年4月1日現在ではに80両が配置され 、以下の列車・編成で使用される。 斜字は非貫通式先頭車。 気動車である特性を生かして1両単位での増結や車両の差し替えも行われている。 「ひだ」用編成 高山本線内では右側が向き。 - 間は逆向き(右側が名古屋駅向き)。 3両編成(グリーン車連結) 富山駅発着の列車に使用される。 名古屋駅 - 間では下記の2編成のいずれかを連結(他の車両は高山本線内での岐阜駅寄りに連結)し、高山駅 - 富山駅間の定期列車にはこの3両のみで運転される。 3両編成(普通車のみ) 発着の「ひだ」25・36、発着の「ひだ」7・14などで運用されている。 4両編成(半室グリーン車連結) 「ひだ」の基本編成。 中間にグリーン車・普通車合造車がある。 6月25日に高山本線 - 間でに衝突・脱線()。 1両(キハ85-107)がとなり、その代替車両としてキハ85-119がに製造された。 「南紀」のグリーン車がキロ85からキロハ84に変更される。 としては、2001年3月のダイヤ改正まで新宮駅 - 紀伊勝浦駅間において、紀伊勝浦駅発のと新宮駅発のの運用があった(名古屋駅 - 新宮駅間は「南紀」として運行)。 紀勢本線において野生動物との接触事故が多発しているため、春から「南紀」用キハ85のうち4両のスカートに製衝撃緩和装置が取り付けられた。 「ひだ」の拡大に伴い、2016年には通訳オペレーターと話せるテレビ電話や音声翻訳機能を備えたタブレット端末を導入。 2018年にはすべての車両で無料Wi-Fiの提供を開始し、和式トイレの一部を洋式へ改造している。 2018年3月より、東海道本線側線での「ひだ」用編成の車両留置が開始された。 臨時列車 [ ]• 毎年10月頃にでFIA()主催が開催される際には全席指定の臨時特急「鈴鹿グランプリ」に使用される。 1991年1月に団体臨時列車として(JR東日本)に乗り入れた。 にも2001年にとして入線している。 - 間にも1990年10月に団体臨時列車で乗り入れた。 また、JRと伊勢鉄道以外では1991年ににて2両編成で試運転を行ったことがあるが、営業運転は臨時・団体共に行われていない。 7月15日には「紀勢本線全通50周年記念号」として初めて紀伊勝浦駅 - 間に入線した。 10月1日から3月30日まで、臨時列車として休日ダイヤを中心に名古屋駅 - 伊勢市駅間で急行「いせ」が1日1往復運転された。 編成はキロハ84かキロ85を連結した4両編成で、特製のヘッドマークが用意されて運転された。 2014年10月にはキハ85-12が高山本線80周年記念の臨時列車用になど飛騨地方の名産品が描かれたが施されて運用された。 2017年5月13日から28日までの毎週土曜・日曜に、計6回運転された「ぬくもり飛騨路号」にキハ85系が使用された。 2019年5月26日から28日に運転された「熊野古道世界遺産登録15周年記念号」にキハ85系が使用された。 今後の予定 [ ]• ディーゼル機関車においては、1982年にで採用例がある。 原設計こそ1960年代と古いが信頼性は高く、やなどにも広範に使用される汎用型の高速ディーゼルエンジンであった。 - にはアメリカのメーカーから広く採用を受け、それまで主流だった系のデトロイト・ディーゼルのに代わって市場で好評を得た実績もある。 後のやに近いものとなっているが、本系列では号車・座席種別幕が小型になっていないという違いがある。 ただしや、などの最繁忙期には4・5両編成に増結されることがある。 出典 [ ]• 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 2019年9月6日. 2019年10月3日閲覧。 『』2018年7月号 「JR車両ファイル2018 JR旅客会社の車両配置表」 p. 18 - p. 1996年6月26日. の2000年11月2日時点におけるアーカイブ。 2020年4月5日閲覧。 『JR時刻表』(弘済出版社)2000年12月号、310頁および315頁• 2012年5月21日. 2017年6月7日閲覧。 日本語 PDF プレスリリース , 東海旅客鉄道, 2018年1月25日 , 2018年3月6日閲覧。 日本語 PDF , , 2018年2月20日 , 2018年3月6日閲覧。 「ユニーク列車PHOTOリポート」『鉄道ダイヤ情報』第84号、弘済出版社、1991年4月、 138頁。 「TOPICS PHOTOS」『鉄道ピクトリアル』第539号、電気車研究会、1991年2月、 92頁。 交友社『鉄道ファン』railf. jp 2013年10月2日• 交友社『鉄道ファン』railf. jp 2014年3月3日• 交友社『鉄道ファン』railf. jp 2014年10月6日• 交友社『鉄道ファン』railf. jp 2017年5月15日• 交友社『鉄道ファン』railf. jp 2019年5月27日• 日本語 PDF プレスリリース , 東海旅客鉄道, 2017年6月7日 , 2017年6月7日閲覧。 上新大介 2017年6月7日. 2017年6月7日閲覧。 - 中日新聞 2019年12月12日 2019年12月12日閲覧 関連項目 [ ] ウィキメディア・コモンズには、 に関連するカテゴリがあります。 : 「北アルプス」時代に本系列との併結運転が行われていた。 外部リンク [ ]•

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下呂温泉&高山

特急ひだ 振り子

キハ85を振り子車両に。 JR東海のキハ85系を使用した特急ワイドビューひだ・南紀は現在名古屋~富山間を約3時間40分、名古屋~紀伊勝浦間を約3時間30分で結んでいますが、仮にこれらの列車をHOT7000系、キハ281系並みの高性能振り子式気動車に置き換えてポイント、線形の整備をした場合、一体所要時間はどれくらい短縮できるのでしょうか。 また、そうなると車両の開発費、製造費、線路の工事費用に加え第4種踏切の整備、野生動物の対策等も不可欠になってくると思いますが、そのような費用面も踏まえてこれらの列車の振り子車両化はあり得るでしょうか。 一般的に、費用対効果の面でお考えください。 費用対効果の部分で理想の高速化を実現しようとすると厳しいものが考えられます。 あの路線での高速化を実現しようとするとかなりの複線化が必要ですね。 曲線改良とポイント改良と車両の振り子化を含めると・・・・・ 自治体の大いなる資金協力が必要となります。 【追記】 高山本線の場合はそのレベルの需要が存在するのであれば、一度は立ち消えになった電化が推進されるのではないでしょうか! キハ85形を導入する際に高山本線では線路改良、分岐機の高速通過化がされているようであるていどの設備投資がされているようです。 しかし振り子となると設備のより一層の強化が必要なので難しいでしょう。 特に線路改良の必要区間が多いと思われるので初期投資が莫大になりそうです。 合わせて保線の頻度を上げなければならないので、維持管理費も従来よりも高くつくと思われます。 もしも振り子化するならば名古屋-富山間の都市間需要をどれだけしらさぎから移すことができるかによります。 現状米原経由で走行距離が長いしらさぎの方が最短距離で走行するひだよりも速いということと本数が問題です(およそしらさぎ3:30に対してひだ4:00、もちろんしらさぎの方が多い)。 もししらさぎ並みの所要時間が達成できれば、ひだが名古屋-富山間のメインルートとなりえます。 しかしそのためには振り子化による数分の短縮では無理なので、振り子にしても需要はあまり変わらず効果が得られにくいと考えられます。

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「ワイドビューひだ」料金表|JR線ご利用案内

特急ひだ 振り子

名古屋駅で発車を待つ「ワイドビューひだ」 「ワイドビューひだ」は、名古屋と高山、富山をJR高山本線経由で結ぶJR東海の特急列車である。 定期列車だけでも1日11往復していて、名古屋駅発は、朝の7時台から夜の20時台まで、おおむね1時間に1本ある。 名古屋~高山の運転がメインで、1日4往復は、高山から北進し、富山までの運転となる。 高山の少し先の飛騨古川行きが1本あるほか、1日に1往復だけ大阪発着もある。 この列車は、東海道本線を岐阜まで走り、岐阜駅で名古屋からやってきた車両と併結して高山行きとなる。 ワイドビューひだの停車駅 ・すべての列車が停車する駅 岐阜、美濃太田、下呂、高山 ・一部の列車のみ停車する駅 尾張一宮、鵜沼、白川口、飛騨金山、飛騨萩原、飛騨小坂、久々野、 飛騨古川、猪谷、越中八尾、速星 ・大阪発の列車が岐阜到着までに停車する駅 新大阪、京都、草津、米原、大垣 ワイドビューひだ車内。 普通の座席(左)とバリアフリーの座席(右)には段差がある 景色を見るために座席は右側・左側のどちらがおすすめ?という質問もよくあるが、下呂までだと白川口を過ぎるまでは右側がよく、そのあとは左側の車窓がよくなる。 帰りも高山本線で名古屋方面へ戻るなら、往路と反対側の車窓を楽しんでみるのがいいかもしれない。 高山本線の旅に出発! 週末だったので、ほぼ満員の乗客を乗せた列車は、定時に名古屋をスタートする。 変わったことに座席は後ろ向きになったままだ。 あわてて座席の向きを進行方向に変える人もいるが、大方の人は無視したままだ。 車内放送があって、次の停車駅岐阜で進行方向が変わりますとのアナウンスがある。 つまり、18分後の岐阜到着で向きを変えるのが面倒なので、初めから向きを逆にしてあるというわけだ。 岐阜までは、取り立てて絶景もない。 ただ、稲沢付近の貨物ヤードにたむろする貨物列車や電気機関車、ディーゼル機関車、尾張一宮(おわりいちのみや)付近での名鉄特急との出会いなど、テツならワクワクする場面に事欠かない。 私にとっても、久しぶりの名古屋周辺通過なので、行きかうどの車両からも目が離せない。 木曽川の長い鉄橋を渡ると、市街地を高架で進んで岐阜に停車する。 ここで進行方向が逆になり、ようやくまともな向きで車窓が眺められるようになる。 来た道を少し戻って、東海道本線と分かれ、いよいよ高山本線の旅が始まる。 高山本線に入って……日本ラインが出現 高山本線は単線非電化路線だ。 車両の上を覆う架線もなく、本線とは名ばかりのローカル線である。 特急列車の本数は多いが電車ではなく、すべてディーゼルカーが使用されている。 しばらくは雑然とした市街地を走るが、突然現れた満開の桜並木に車内は騒然となる。 各務原(かかみがはら)市の市民公園に近い境川堤の桜で、この付近の桜の名所らしい。 列車は停車することなく先を急ぐ。 やがて開けた田園地帯が展開するが、意外にスピードは速い。 下呂駅駅舎は和風の造りで、古くからの温泉地にふさわしい落着いた雰囲気だ。 太多線と分かれ、しばらく走ると右手に川が見えてくる。 今度は木曽川の支流飛騨川だ。 またしても川沿いに走るが、ちょっと離れたところを走るので、なかなか渓流を眺められない。 川に架かる幾つもの橋で、その存在を確認するばかりだ。 下麻生を過ぎる頃から、ようやく渓流を車窓から見ることができるようになる。 両側から険しい山並が迫り、切り立った絶壁に囲まれて川が流れている。 景勝地「飛水峡」の看板が対岸の山の斜面に見える。 車内放送で右手を見るようにとの案内もある。 カーテンで窓をふさいでいた女性客が眩しそうに外を見やり、それにつられる様に、欧米からと思しき外国人観光客グループが物珍しそうに車窓を眺めている。 これ以後、延々と続く飛騨川の眺めの、最初のビューポイントだが、この付近は過去に悲惨な観光バス転落事故が起きた場所でもある。 対岸には、その国道41号線が崖っぷちを這うように走っている。 渓谷が続いたあとは、川にダムが造られ、せき止められて出来た人工湖がある。 しばらく進むと、川は再びもとの姿に戻り、自然の渓谷となる。 小さな駅を通過し、やがて初めて飛騨川を渡る。 かなり高いところを渡るので、眼下の渓谷を覗き込むと中々迫力がある。 トンネルに入り、抜けると駅でもないところで停車する。 線路が複線になっているので、列車の行き違いのための信号場であろう。 一本だけ咲き誇っている桜に見とれているうちに、高山方面からやって来た特急「ひだ」が名古屋方面へ駆け抜けていく。 遠ざかる山道。 近づく下呂温泉 小休止の後、旅を再開。 飛騨川を二回ほど渡って、今度は、川が左に移る。 車窓を眺めるには、ずっと右側の席がよかったが、このあたりから下呂の少し手前までは、左側が優良席となる。 私の座っている場所からは遠めにしか川が見えないが、またしてもダムの人工湖を通り過ぎている。 飛騨金山を過ぎ、中山七里と呼ばれる渓谷美で知られた名所に差しかかる。

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