フィンランド の 教育 は なぜ 世界 一 な のか。 岩竹美加子 『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』

テストが無いフィンランド教育法!勉強時間が少ないのに世界1位なのはなぜ?|お役立ち保育コンテンツ|保育士の転職求人なら「保育ぷらす+」

フィンランド の 教育 は なぜ 世界 一 な のか

送る かつて「フィンランド・メソッド」なるものが日本で大流行したことを覚えていますか? 2000年代、フィンランドの子どもたちが高い学力を持っていることが注目され、多くのメディアがフィンランドにおける学校教育を取り上げました。 皆さんのなかには、関連書籍を買った人がいるかもしれませんね。 近年、「フィンランド式教育」は当時ほど目立たなくなりました。 日本人にとって参考にならないからでしょうか? もちろん、そんなことはありません。 流行が下火になっただけで、むしろ教育の多様性がようやく重視されはじめた現在の日本だからこそ、フィンランドの教育界からあらためて学べることは多いのです。 そんなフィンランドの教育事情を、詳しくご紹介しましょう。 教育分野におけるフィンランドの位置づけ そもそも、フィンランドの学校教育が日本で注目を集めたきっかけは、経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに実施している、学習到達度に関する国際調査「PISA(Programme for International Student Assessment)」でした。 同調査は各国の15歳を対象に、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3つを測定するものです。 PISAの国際ランキングにおいて、フィンランドは高い順位を維持する傾向にあります。 読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーについて、2000年はそれぞれ1位・4位・3位、2003年は1位・2位・1位、2006年は2位・2位・1位でした。 この卓越した結果から、「フィンランドではどんな学校教育が行われているのだろう」と多くの人が興味を抱き、「世界一のフィンランド教育」が持ち上げられるようになったのです。 フィンランドの教育制度 フィンランドの教育制度は、「6・3・3・4制」と呼ばれる日本のシステムとは少し異なります。 義務教育にあたるのが、7~16歳の通う「総合学校」。 日本でいう小学校と中学校です。 9学年全てが同じ校舎で学ぶ学校と、1~6学年と7~9学年の校舎を分ける学校があります。 総合学校での学びを終えたあと、子どもの約半数は大学進学のため「普通高校」へ、もう半分は「職業高校」へ進むそう。 普通高校は、日本の高等学校のようなクラス制ではなく、生徒は自ら学習計画を立てて必要単位を取得します。 卒業には2~4年かかるようです。 最後に、卒業資格試験として全国統一テストが待っています。 受験必須科目は、国語、第2公用語、外国語もしくは数学の3つと、一般教養のなかから1つの、計4科目です。 テストの結果は大学の合否判定に使われます。 職業高校へ進んだ子どもは、2~4年のあいだ、学校や実際の職場などで職業訓練を受けます。 生徒は担当の教師や企業の代表者たちから評価され、職業資格、上級職業資格、専門職業資格という3段階の資格を取得。 フィンランド教育文化省によれば、職業訓練として、50以上の職業資格で100以上のプログラムが用意されているそうです。 フィンランドの社会では「資格」が重視されており、レストランで給仕をするのにも資格が必要なのだとか。 社会に出て働くのに、資格の取得は欠かせないようです。 高等教育機関は、「大学」と「応用科学大学(ポリテクニック)」の2種類。 フィンランド外務省が2017年に発行したパンフレットによると、全国に14の大学と25の応用科学大学があります。 フィンランドにおける大学の特徴は、学士課程と修士課程がセットになっていること。 「大学院」といえば、博士課程を意味するそうです。 一般的に、学士課程で3年、修士課程で2年学びます。 一方、応用科学大学は「高度な能力を必要とする実際的な学習を提供」する場所。 経営学や情報技術、ソーシャルサービス、保育などの学位を取得できるそうです。 学習期間は、実習期間を含んで3年~4年半。 学士号を取得後、少なくとも3年以上就労すれば、修士課程に出願できます。 フィンランドの教育改革 2013年、クリスタ・キウル教育相(当時)が来日の際に語ったところによると、1968年にフィンランドで大胆な教育改革が始まりました。 「持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」ことを、全ての政党が一致して決断したそう。 1972年には、初等学校・中等学校が総合学校として統合され、義務教育が6年から9年に延長されました。 また、1994年にわずか29歳で教育相となったオッリペッカ・ヘイノネン氏も、大きな教育改革を実施しました。 深刻な不況下で「国としての強み」を作るため、 教育・研究・開発という3つの分野に集中して投資することを政府が決定。 ヘイノネン氏は「新たな課題に立ち向かい、それを解決するための思考力や、問題解決能力を身につけた人材」が必要だと考え、以下のような改革を進めました。 - 「コアカリキュラム」(日本でいう学習指導要領)の項目を3分の1に削減。 - 教科書の検定を廃止。 - 教員の資格として修士号を要求。 上記の改革によって、学校・教員という教育現場の裁量権が大きくなりました。 国の定める学習目標を達成しさえすれば、教え方を自由に決められるようになったのです。 自由度の高い授業に必要な専門スキルを身につけるため、教員志望の学生は学士課程と修士課程で厳しいトレーニングを経験します。 現在のフィンランドで、教員は多くの人が憧れる人気の職業なのだとか。 教職課程には定員の5倍以上が応募するそうです。 フィンランドにおける幼児教育 フィンランドの子どもは、親の就労状況に関係なく、0歳から保育園(日本の保育園および幼稚園に相当)に通うことができます。 保育が必要な全ての子どもに保育施設を24時間確保することが、自治体の義務(罰則つき)なのだそう。 フィンランド外務省によると、保育園の教員は大学で修士号を取得しています。 また、総合学校で初等教育が始まる前の1年間、フィンランドの子どもは「プレスクール(就学前教育)」に通って社会性を養います。 プレスクールも義務教育に含まれており、保育園か学校内で行われます。 フィンランドにおける教育の特徴 授業料が無料 フィンランドにおける教育の特徴は、なんといっても、義務教育も高等教育も無料であること。 保育園には保護者の収入に応じた利用料を払う必要がありますが、 プレスクールから大学・大学院までは学費がかからないのです。 さらに、総合学校では教科書も給食も無料。 高校では、教科書は自己負担ですが、給食は無料です。 フィンランド外務省によると、「 授業料と引き替えに優れた教育を提供する私立学校は、事実上存在しません」とのこと。 教育が無料である背景には、「国民には、自分の可能性を最大限に高め、夢を実現したり希望の仕事に就くうえで役立つ、優れた教育を受ける権利がある」という方針が存在します。 お金の問題に悩まされず、自分の関心や必要性に応じて教育を受けつづけられるという環境は、理想的ですね。 教員の質が高い フィンランドでは「 教師こそが教育の要」だと考えられており、教員の育成に力が入っていることも大きな特徴です。 教員の要件として求められるのは修士号。 総合学校1~6年次では、教育学を専門とする教師が担任としてクラスを指導します。 7~9年次は、それぞれの専門分野を持つ教員が専門科目を受け持ちます。 どの段階の教員も毎年、研修を受けるそうです。 フィンランドにおいて、教師はとても人気のある職業。 大学の教育学部に入学したり、教職課程を履修したりする際の選考に合格できるのは、総合学校の担任希望者でわずか10%、専門教科の希望者は科目により10~50%だそう。 志願者が多いため、「教師として最適な人物を応募者の中から選ぶ」ことが可能なのです。 フィンランドでの教育方法 フィンランドの学校では実際、どのように授業が行われているのでしょう? まず、フィンランド外務省によると、総合学校では1時限の授業が45分で、1~2年生は一日に5時限まで、それより上の学年は7時限までだそう。 しかし、現場の裁量が大きいため、授業時間は学校によって異なるようです。 また、授業日数は年間で190日。 6月から8月上旬までは夏休みです。 学期中に秋休みやクリスマス休暇があるほか、自治体によって休日が追加されます。 フィンランドの授業における特徴が、「 クロスカリキュラム」(教科・科目を横断した学習項目)を重視していること。 世のなかのさまざまな事象は、理科や社会といった科目に分けきれるものではありません。 クロスカリキュラムを通して、生徒は情報を有機的に関連づけて考えることを学ぶのです。 たとえば、算数と地理のコラボレーションとして、以下のような問題が教科書に載っているそう。 フィンランドの主要都市の地図とそれらの都市間の道路距離が表で示されており、ある都市からある都市を経由して別の都市まで行くのに車で何キロメートル走るかという課題 (引用元:北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部門|) 科学教育などを専門とする池田文人・准教授(北海道大学)によると、フィンランドにおいては暗記よりも「学習した内容を表現すること」が重視されているそう。 たしかに、知識や経験をインプットするだけでなく、アウトプットすることによって、表現力やコミュニケーション能力が磨かれそうです。 フィンランドの国語の教科書では、学習した内容のまとめとして、たとえば物語や演劇などを創作することが求められたり、ディベートや討論会を行うことが求められる。 また理科や社会などでは、学習した内容や観察したことなどを地図や絵にしたり、標本を作成したりする。 (引用元:同上) また、2016年に導入された新たなコアカリキュラムによって、プログラミングが必修化されました。 ただし、独立した科目ではなく、全ての科目において横断的に導入されるそうです。 ここでもクロスカリキュラムが徹底されています。 算数での導入が多くなりますが、音楽や体育にも登場します。 1~2年生では正確な指示・伝達を行う方法や論理的な思考を学び、3~6年からはコンピュータやタブレットを使って簡単な動作を習います。 7~9年生になるとアルゴリズムについて考え、プログラミング言語を最低1つ学びます。 (引用元:フィンランド大使館・東京|) フィンランドは「教育大国」であるだけでなく、いわゆる「北欧デザイン」の国としても知られています。 そんなフィンランドにおける美術の授業はどんなものなのでしょう? 美術教育を専門とする佐々木宰教授(北海道教育大学)が2007年に現地で調査したところによると、総合学校の全学年において、「視覚芸術」と「工芸」の科目が設置されていたそう。 「視覚芸術」では制作活動が主ではなく、いわゆる「美術」のほか建築やメディアなどについて幅広く学習されていたそうです。 また、「工芸」は「場当たり的なものづくり」ではなく、「生活空間の要求に対して具体的に応えていく造形活動」として捉えられており、技法の習得に重きが置かれていた様子。 工芸分野のなかでも特に「テキスタイル(布デザイン)」が重視されていたのは、アパレル企業・マリメッコ発祥の国らしいといえるでしょう。 フィンランドで教育に使われるマインドマップ 「フィンランド・メソッド」が日本で流行した際、フィンランドにおける教育の特色として取り上げられたのが「マインドマップ」です。 マインドマップとは、「」でもご紹介したように、1つのテーマを中心として、連想したイメージを枝分かれさせながら紙に書き込んでいく思考法。 英語教育などを専門とする深谷素子・准教授(鶴見大学)らが2012年にフィンランドで行った取材によると、 現地ではマインドマップが普及しており、小学校から教えられるそうです。 インタビュー対象となったトゥルク大学の講師、ティモ・リノッスオ氏の話では、マインドマップの作成を通して「バラバラだった物事を秩序立てて考える」ことが可能になるそう。 並列されている情報を順番に覚えるのではなく、それぞれの意味を考えてつなげることで、物事をよりよく理解できるようです。 マインドマップを難しいと考える学生はいるものの、リノッスオ氏は、その有用性に気づけるよう何度も書かせるのだとか。 たしかに、情報をただ箇条書きにするのではなく、上下左右に広がるツリーとして描くことで、それぞれの物事がどう関連しているのか考えられるようになりますね。 フィンランドにおける教育上の課題 数度の改革を経て、大きな成果を上げたと思われるフィンランドの教育。 一方で、デメリットや克服すべき課題などは存在するのでしょうか? 教科教育学などを専門とする鈴木誠教授(北海道大学)は、2012年に刊行された論文において、フィンランドの教育界で「露呈してきた様々な問題点」のひとつに、「競争を意識する場面」の出現を挙げました。 高校卒業資格試験に臨む生徒を対象とした、年に5,000ユーロ(約64万円)の費用がかかる学習塾が現れたそう。 塾に通うことでよい成績がとれ、志望校に入りやすくなるのなら、あまり裕福でない家庭の子どもは、医学部や教育学部といった人気の学部に入りづらくなってしまうかもしれません。 また、リクルートワークス研究所発行の人材マネジメント雑誌『Works』誌上で2014年に掲載されたヘイノネン氏のインタビューにおいて、同氏は「学校における試験のあり方」についてさらなる改革が必要だと述べました。 ヘイノネン氏によると、「今でもフィンランドの生徒たちはテストに苦しめられている」そう。 たしかに、普通高校の卒業資格試験は、1科目6時間という過酷なもの。 準備にも多大な労力が必要となります。 ヘイノネン氏は、試験でよい点を取らせることが教育の目標ではなく、学習のプロセスこそが大事なのだと考えているのです。 しかし、試験の成績で進路が決まるのであれば、どうしても「よい点を取る」ことが勉強の目的になってしまいがち。 これについては日本とあまり変わらないようです。 教育における日本とフィンランドの違い ここまで、フィンランドにおける教育の特徴を見てきました。 日本とは全く違う点もあれば、似ている部分もありましたね。 特に異なるのは、やはり、フィンランドでは初等教育から高等教育までが無料だという点です。 日本でも、憲法により「義務教育は、これを無償とする」と定められています。 そして教育基本法により、公立の小・中学校は授業料を徴収しないことになっていますが、ご存知のとおり、私立の学校では授業料が必要です。 しかし、フィンランド外務省によると、同国には「授業料と引き替えに優れた教育を提供する私立学校は、事実上存在しない」のだそう。 公立学校にしか行けない子どもと私立学校で学べる子どものあいだに格差が生じることはないようですね。 さらに、大学の学費も無料だという点は大きいでしょう。 近年、日本でも大学の学費の高さが社会問題として取り上げられているのはご存知のとおり。 文部科学省の調査によると、2016年度に私立大学に入学した人が1年で払った授業料の平均は、約88万円。 公立大学でも約54万円を徴収するところがほとんどです。 これに入学料や施設設備費が加わるので、保護者や学生当人の金銭的負担は、フィンランドとは比べものになりません。 大学進学のために返済型奨学金を借りるも返しきれないことで起こる「奨学金破産」という言葉を、フィンランドで耳にすることはなさそうです。 また、教員の地位・待遇も、日本とフィンランドとでは大きく異なります。 フィンランドにおいて、教師は多くの人が憧れる職業ですが、採用は狭き門。 修士号が必要とされ、大学で身につけた専門性を授業で活かします。 ヘルシンキの総合学校に務める、ある教員によると、授業は8時過ぎから14時半頃まで。 その教員は17時に帰宅しますが、小さい子どもがいる人はもっと早く帰るそうです。 日本とフィンランドにおける教員の違いは、2013年に実施された「OECD国際教員指導環境調査」の結果にも表れています。 各国の中学校にあたる機関の教員および校長へのアンケートによると、質の高い指導を行う上で「資格を持つ教員や有能な教員の不足」が問題だと答えた校長の学校に所属する教員の割合は、日本が79. 7%で参加国中トップ。 フィンランドは17. 1%で、4番目の少なさでした。 また、社会問題となっている日本の教員の多忙さも、この調査結果から明らかです。 1週間の労働時間の合計は、日本が53. 9時間でトップ。 参加国平均の38. 3時間を大幅に上回っています。 一方のフィンランドは31. 6時間でした。 あまりにも多忙だと、生徒ひとりひとりにしっかり向き合ったり、教材研究したりする時間が確保できなくなってしまいそうです。 しかも、2018年7月に共同通信が報じたところによると、全国の公立小・中・高等学校において教員が少なくとも600人不足しています。 背景には、若手の教員志望者が減っていることなどがあるそう。 労働時間の長さを考えれば、無理もないかもしれません。 フィンランドでの教員人気とは大きな違いです。 日本でフィンランド教育を実践する「ムーミン幼稚園」 さて、日本とは異なる魅力を持つフィンランドの教育。 その一端でも日本で享受することはできないものでしょうか。 実は2015年、東京・赤坂に、日本初のフィンランド教育を実践する幼稚園として「ムーミン・インターナショナル・キンダーガーデン(ムーミン幼稚園)」がオープンしていました。 園内の共通語は英語ですが、教師たちは複数の言語をしゃべることができます。 15時から始まるアフタースクールでは、多様なアクティビティを通してフィンランド語・スペイン語・英語・日本語が学べるそう。 「自信を持って自身の文化を世界に発信できるグローバルな人材」になることが期待されています。 ムーミン幼稚園の大きな特徴は、「パーソナライズド・ラーニング」として、子ども一人ひとりに異なるカリキュラムを作成すること。 一般的な幼稚園のように、全員を同一のカリキュラムに従わせるのではなく、「子どもたちが目的を持って個々のペースで学べる場所でありたい」という願いから、子どもの情熱や才能を引き出せるよう努めているのだそう。 子どもが少人数グループのなかで他者と触れ合い、心を育むことにより、「学習効果の最大化を目指しているとのことです。 小さいうちから、このように個々を重んじる環境で育てば、自尊心を持ちつつ他者を尊重する人間になれそうですね。 *** フィンランドにおける教育は、「教育費無料」や「マインドマップ」といった単純なキーワードで語りつくせるものではないことがわかりました。 全ての背景には、「良質な教育の機会を万人に与える」という強い意志があります。 日本でも、これからの教育はどうあるべきか、私たち一人ひとりが真剣に考えたいものですね。

次の

フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (新潮新書)

フィンランド の 教育 は なぜ 世界 一 な のか

もくじ• はじめに 岩竹美香子氏の著した 「フィンランドの教育は、なぜ世界一なのか」を読みました。 この本には、岩竹氏が子育ての時期に日本とフィンランドで生活した経験から感じたことを、二国の違いに焦点を当てて書かれていました。 筆者紹介 岩竹美加子( いわたけ・みかこ) 1955(昭和30)年、東京都生まれ。 早稲田大学客員准教授、ヘルシンキ大学教授を経て2019年6月現在、同大学非常勤教授(Dosentti)。 読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野がある)で常に上位を占めていました。 ですからどんな教育をしているのかとても関心がありました。 最近の調査を見てみると、読解力(3位)、数学的リテラシー(11位)、化学的リテラシー(3位)となっています。 日本はというと、読解力(11位)、数学的リテラシー(1位)、化学的リテラシー(2位)となっていました。 (下図) フィンランドの課題は 「数学的リテラシー」、日本は 「読解力」ということになります。 この表からフィンランドと日本はだいたい同じくらいの学力なのだと思いました。 しかし、この本を読んでみると、あまりにも教育に対する考え方が大きく違っていたのです。 ウェールビングという概念 文章の中に ウェールビングといる言葉がよく出てきます。 フィンランドでは、 ウェールビングは権利とともに教育の柱になるものです。 その意味は、健康・日常生活の快適さ・自尊心を育む・自己肯定感がある・性的充足・虐待、差別やいじめがない etcです。 ウェールビングとは教育の柱だけではなく、日常生活全てが含まれる、 社会、国家のあり方の柱なのだそうです。 私は、個人で考えると 「幸福指数または度合い」のようなものではないかと捉えました。 いずれにせよ、日本社会にはない考え方です。 日本には 公共心という言葉があり、みんなのためにごみを拾ったり、ボランティアをしたりすることがありますが、ある意味、個人主義の国でもあります。 それは、考え方が多様で国政でさえまとまらないこともあるからです。 しかし、フィンランドは、 一個人も、政府も、国家そのものがにウェールビングという考え方が浸透し、皆が 同じ方向を目指しているようです。 学校教育 全校学力学習状況調査やテストがない フィンランドには、テストはありません。 一人ひとりの子どもの関心や目指すものは異なると捉えているからです。 さらに、子どもが 自分らしく発達していくことが、大事で、それは テストで測ることはできないという理由からです。 このような考え方が教育の根幹にあるので、順位を競ったりすることには意味がないということなのです。 日本のように30億円もつぎこんで、全校学力学習状況調査を一斉に開始し、学力を測ることはありません。 日本はその費用でIT機器を充実させたり、人員を増やしたりすることにお金をかける方がよいのかもしれません。 今後、遠隔授業の整備の予算を確保し、それを充実させる必要があると思います。 学校行事はない はっきりとした入学式や卒業式がありません。 もちろん運動会もクラブ活動もありません。 一斉就職という仕組みもないそうです。 一斉に就職するということは、雇用者や国の経済にとって都合がいいけど、個人の ウェールビングを考えたものではないからなのです。 学生と社会人という境界線もないようです。 日本の学校は 行事を大切にします。 入学式、運動会、卒業式の3つはどの学校でも あたりまえのように存在します。 そして、月1回程度の参観日、集団宿泊学習、修学旅行などは 行事の定番となっています。 最近では コミュニティースクールの事業が盛んになり、(県によって温度差はありますが)地域と連携した 行事が新たに生まれている学校もあります。 教師の 業務改善が進まない要因の一つです。 私は、新型コロナウィルスのせいで、いくつかの行事がなくなっていくのではないかと予想しています。 その上、学校の始業が世界標準に合う 9月開始になる可能性が高くなってきました。 これは日本の教育システムを見直し、行事を少なくし、業務をスリム化する機会だと思います。 宿題はない 宿題は基本的にはありません。 (ときどき出ることもあるようです)夏休みの宿題もないそうです。 なぜなら、 休みは、休むためのものだからなのです。 過剰な勉強を子どもに課す学校文化がそもそもがないのです。 ランドセルはない 日本では、ランドセルを背負って登下校することが、当たり前ですが、フィンランドは、 小ぶりなナップザックだけそうです。 それですむのは、 教科書や教材は全て学校に置いているからです。 ナップザックの中は筆記用具と数冊のノートです。 給食当番もないので、給食袋を持参することもありません。 学習に必要なものは、全て学校にあるようです。 重いランドセルを背負って、 汗だくで登下校する1年生の姿は、フィンランドでは見られません。 クラスの人数は少ない フンランドの1クラスの子どもの人数は 20~25人です。 日本は1年生35人、2~6年までは、40人です。 フィンランドの方が一人ひとりにきめ細かい指導をすることができると言えるでしょう。 いじめ対策はある フィンランドも いじめに対して、いろいろな手を尽くして対応しています。 日本と異なるのは、 いじめの予防に力を入れていることです。 いじめ予防に 「キヴァ・コウル」というプログラムを実施して、全国の小中学校でいじめの予防対策をしています。 キヴァ・コウルとは 心理学者が開発しました。 いじめとそのメカニズムに関する長年の実証実験的な研究から開発された有効なプログラムです。 これらのことから、 いじめに対する研究は日本より歴史があるのではないかと感じました。 ネットによるいじめには、法律と警察を入れて対応していました。 また、 「いじめは、関わり合いのスキルの問題」と捉え、保育園の時期から、いじめの話や、人との関わり合いについて遊びを通して学び取らせる努力をしていました。 幼いころから 「権利と義務」についても徐々に教えていくそうです。 親の負担はとても少ない 親は基本的に 子どもに干渉しないそうです。 ある年齢になればその子の生き方として、 認め、尊重していくそうです。 日本の若者より、精神的に早く大人になるのではないでしょうか。 また、PTA活動もなく、それに代わる 「親たちの組織」というものがあり、その組織に入っている有志の保護者が日本のPTAのような活動を牽引しています。 岩竹氏は日本のPTA活動に加入するか否かで、脅しのように入会を迫られた体験から、その組織の異常さを訴えていました。 「親たちの組織」は、とてもにフランクで、和気あいあいと活動できたようです。 もちろん強引に迫るようなことはなかったのです。 それは、子どもにとっても親にとっても意義のあるものだったと言い切っています。 そして、最大の違いは、 教育費は全て国が負担するという国の仕組みです。 日本では、経済的な理由から高校や大学に進学をしない学生がいます。 フィンランドでは、学費の障害がないので 学ぶ意欲のあるものは、どんどん伸びていくのです。 親は学資保険などに入ることなく、生活を豊かにするためにお金を使うことがきます。 このように親は子どもの 教育に関して全くストレスを感じないそうです。 終わりに 以上のように日本との違いがたくさん書かれていました。 私は日本になく、フィンランドにあって感心したものは、 「学び方を教える。 」「権利と義務を教える」「ウェールビングという概念」の3つです。 そして、日本は「主体的で対話的な深い学び」「道徳の教科化」「学校・家庭・地域の連携」等で同じようなことをねらっていると思いました。 その上、フィンランドと日本の教育システムが大きく異なるは、民族性や歴史的背景が違うからだとも思いました。 日本もフィンランドと同様、長い歴史の中からその国民と社会のシステムに最適な教育システムを構築し、現在も進化しています。 この本にあるフィンランドの取組は、 日本の教育システムを振り返るよい指標となると思います。 フィンランドの教育について、 さらに詳しいことを知りたい方は、是非、一読することをお勧めします。

次の

フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (新潮新書)

フィンランド の 教育 は なぜ 世界 一 な のか

充実した社会保障が国民に安心した暮らしを提供し、「国民の幸福度アップ」や「世界トップの学力」に繋がっているとされています。 フィンランドの社会保障が教育の分野においてどれほど充実しているのかを見ていきましょう。 さらに、子どもが生まれると、国から母親全員にベビー服や布団、哺乳びんや絵本などのセットが届き、17歳までの子ども全員に月1万3千円程が支給されます。 また、授業料が無料というだけでなく、子どもたちには通学手段、食事(給食)、教科書や学用品が無償で提供されるなど、育児への支援が非常に手厚いことがフィンランドの特徴です。 読み書きや数字、社会道徳などを学び、小学校で学ぶ上での基盤を整えます。 この就学前教育は任意参加ですが、ほとんどの子どもが参加し、この教育も無償で受けられます。 保護者としても安心できる体制が整っていると言えるでしょう。 学習に困難が生じている子どもに対しては、即座に特別支援教育によるケアが実施されます。 そのため、ひとつの学級は24人以下の少人数で、実際には20人以下のクラスも多くなっています。 「競争させるよりも学ぶことの意味を理解させる」という理念を感じられますね。 これは時間をかけて、「平等の教育」という目標のもとに国が教育改革を行ってきた結果によるもので、フィンランドでは自国の国籍をもつ子供だけでなく、フィンランドに暮らす難民や移民の子どもたちにも平等に教育を受ける権利が保障されています。 これは他の国では滅多に見られないシステムでしょう。 国土も小さく、天然資源もなかったフィンランドは、「人材こそ財産である」と考え、教育への投資を拡大することを決断しました。 これらの教育改革を経て、世界的にも高水準の成果を生み出すフィンランド式教育が生み出されたのです。 夏休みは6月中旬から8月中旬までの2カ月間と長めで、小学生の間は宿題やテストもほとんどありません。 また、日本の様に塾がないため、校外で勉強することがありません。 家での勉強時間も他の国と比べると少ないです。 そうすることによって、フィンランドの子どもたちは、オンオフを意識し、自発的に勉強に取り組めるようにモチベーションを保つことができているのです。 国内には図書館が数多くあり、本を読む機会を確保しやすいようになっています。 子どものときから読書癖をつけることで、夏休みに宿題がない子供たちは、自分の興味がある本を好きなだけ読める時間があるということです。 保育園に通う程度の年ごろから、教室を夢見る子どももいるそうです。 すべての教師を大学院で養成し修士号取得を要請している国は、ヨーロッパのなかでもフィンランドのみです。 そのため、必然的に教師自体の学力が、他国と比べ高くなっています。 また、教師の勤務時間は少なく、ほとんど授業時間のみです。 日本のように部活動などで多大な時間を費やさないため、勉強を教えることだけに専念できる環境になっているのも、日本とは大きく異なる点ですね。 子どもたちが好奇心をもって楽しく学べるようにすることを大切にしており、特に下記の3点はフィンランド教育を語るうえで欠かせないポイントです。 入学試験がない代わりに、9年の義務教育期間中の成績の平均点で希望の高校の合否が決まります。 生徒は5つ希望の高校を選び、成績のよい順に希望の高い高校へと進みます。 義務教育期間中の成績はペーパーテストだけでなく、日々の学習の取り組みや成果も評価対象となっています。 勉強はあくまでも生きていくために必要なものだということを理解させ、興味をもったことを自主的に学習するように促します。 分からない事柄へのフォローが手厚いため、勉強嫌いになる子どもは少ないそうです。 「テストの点や順位のために勉強するのではなく、自分のために学ぶことが教育の根本である」という考え方から、このような方針で教育が行われています。 そのほか、子どもの自主性に任せる教育が行われるため、成長した後も自分自身の創意工夫を大事にします。 就職後も会社では効率性を大切にし、任された仕事を効率的に達成することを考えられるようになります。 また、ワークライフバランスを大切にし、家族と一緒にいる時間を重視する姿勢も、競争社会とは無縁の環境で暮らしてきたことが土台になっていると考えられています。 新教育課程の柱となっているのは、「肯定的な感情を生み出す経験、共同作業、他人との交流、そして創作的な活動を向上させる学習」です。 今回の改革では以下の3点が焦点となっています。 例えば、教師は歴史や経済を単一で教えるのではなく、例えばEUを授業で取り上げて、そこにEUにまつわる歴史や経済などを盛り込んで教えます。 カリキュラムに関しては、学校や地域にある程度の裁量が与えられ、おおむね自由に決められるようです。 個々の科目を重視し、教師が一方的に指導するあり方を変えることは、教育に大きな変化をもたらすチャンスだと捉えているのです。 これまでは日本のように、教師が教団に立ち、生徒たちはその前に並べられた席に座って授業を受けていましたが、新教育課程では、生徒たちはいくつかのグループに分かれて授業を受けます。 グループで座ることでコミュニケーション能力の向上を図ることが目的となっています。 文化的背景が異なるので一概には言えませんが、フィンランド教育から日本が学べる部分はたくさんあります。 一方で、フィンランドでは消費税は24%ということもあり、多額の税金を教育に投資でき、その結果、子供たちが大人になって世界的に活躍し、国に利益をもたらすシステムが構築されているようです。 世界一と呼ばれるフィンランド教育の影響を受けて、日本でもこの教育を導入する幼稚園や保育園が徐々に増えているようです。 保育士・幼稚園教諭など、子どもに関わる職業の方は、ぜひこの機会に情報収集してみてはいかがでしょうか? 子どもたちの可能性を大きく変える一歩になるかもしれません。 【保育ぷらす+で過去に紹介した海外の保育方法の記事(参照URL)】.

次の