キバユウ ヤンデレ。 #キバユウ #ユウリ(トレーナー) 鬼ごっこの話。

仮面ライダーキバBGM 「ビショップの暗略」 音楽 ニコニコ動画のニコッター

キバユウ ヤンデレ

だいぶ酷い妄想 ユウリちゃんは監禁されていました 「はぁっ、はぁっ…!」 私は無我夢中に真っ暗な路地裏を走り続けていた。 あぁ、やっと私は逃げ出せた。 あの、地獄の日々から。 見たところで意思は変わらない。 誰かに助けを求めないと…。 「なーんで見ないんだぁ?」 嘘だ。 どうしてこの声が聞こえるの。 恐ろしい、絶対に聞きたくない声。 「…無視するのはよくないと思うぜ? そーんな悪い子になったのかぁ?」 聞こえるはずないのだから。 私は無視して走り続ける。 「…そろそろキレそうだなぁ。 」 私は立ち止まる。 本当に、後ろにいる。 彼が…キバナさんが。 「なぁ、ユウリ。 チャンスをやるよ。 」 何を言っているのか。 怖くて振り返る事が出来ない。 「今から鬼ごっこをしよう。 制限時間は夜明けまで。 簡単だろ?」 「…どうしてですか。 」 「たまには俺サマだって遊びたくなるんだよ。 ユウリが逃げ切れたらそのまま逃がしてやる。 で、俺サマがユウリを捕まえたら大人しくお家に戻ろうな?」 …チャンスなのかこれは。 今は真夜中。 夜明けまではまだ数時間ある。 それを逃げ切れるのか。 分からない、でもやってみるしかない。 あの場所に戻るくらいならこれくらいやってみせる。 「…わかりました。 」 私がそう言うと彼は数字を数え始めた。 私は全速力で走り出した。 路地裏を訳も分からないまま走る。 ここが何処か分かる場所へ行かなければ。 何か、何か目印になるものは…! 「もしかして鬼ごっこは苦手なのかぁ?」 彼の声が聞こえる。 どうして。 全速力で走ってるのに。 彼がすぐそこに来ている。 ポケモンの上に乗ってる訳でもないみたいだ。 その長い、長い足で私を追いかけてきている。 このままでは絶対に捕まってしまう。 走るには私の力ではもう無理だ。 あの長い足に対抗するには、私の仲間たちを使うしかない。 「…キバナさんのポケモンに対抗するために、体力は残してあげたかったけど…。 」 仕方が無い。 そう言って私はモンスターボールを握る。 「…お願い。 私を連れ出して、アーマーガア!」 アーマーガアはひと鳴きすると私を乗せ、急上昇する。 すぐにキバナさんはフライゴンで追いかけてくるだろう。 早く、逃げないと。 誰か、誰か助けてくれる人。 「アーマーガア!シュートシティに向かって!」 ダンデさんならまだいるかもしれない。 色々仕事が忙しそうだったし…。 頼りになるしきっと助けてもらえる。 ダンデさんがバトルタワーにいるのを願いながら私はシュートシティを目指した。 [newpage] 駄目だ。 このままじゃ追いつかれてしまう。 何処か、何処かに隠れないと。 私は少しキバナさんと距離をとる。 周りを見渡すと粗大ゴミ置き場なのかクローゼットや机などの家具が置いてある。 ここに隠れよう。 大丈夫、きっと見つからない。 私はクローゼットの中へ入る。 息を潜めてキバナさんが通り過ぎるのを待つ。 「んー?ユウリ、今度は隠れん坊かぁ?」 …くすくすくす。 だんだんと足音がこちらへ近付いてくる。 嫌だ、嫌だ。 こわい。 「あんまり探し回ってもなぁ…。 その間に逃げられちまうかもしれない。 」 私のいるクローゼットの前で足音が止む。 「良い子、良い子。 ユウリは良い子だから勿論、出てきてくれるもんな?出てきたら褒めてやろう。 」 …絶対に出ていかない。 そう、思ってたのに。 私の手は扉を開けようとしている。 嫌なのに。 嫌なのに。 酷い目に遭わされるのに。 …違う。 私が限界なんだ。 この苦痛から早く逃げたいって。 体が限界になってるんだ。 私の手はそのまま扉にあたり、扉が開く。 そこには目をとろとろにして、首を少し傾げ、私を見つめる、キバナさんが居た。 「うんうん、良い子。 こっちにおいで。 」 ふらふらと自分の指示をきかなくなった足がキバナさんの方へと歩を進める。 自分の体ではないみたいだ。 そして彼の腕の中へ。 「…よしよし。 さ、お家に戻ろうか?」 そうして、私は連れ戻されてしまったのだ。 ~BADEND~ [newpage] 目の前にバトルタワーが見える。 良かった、何とかなりそう。 「ユウリー????」 …。 もう来てる。 後ろに、彼が迫ってきてる。 「アーマーガア、少しスピードを上げて!!」 アーマーガアはひと鳴きして降下しながら少しスピードを上げる。 入口に私は降り立つと、全速力で走って中に入る。 「…ほぉ、なかなか考えるね。 かしこい、かしこい。 」 キバナさんはフライゴンから降りてゆっくりと歩いてくる。 「すみませんっ!ダンデさんはいますか!?」 「…ダンデさんは実家に戻るとの事で今居ません。 」 最悪だ。 こんな時に。 「ほぉら、ユウリ。 大人しく、お家に戻ろうな?」 キバナさんはそう言いながら中へ入ってくる。 追いつかれてしまう。 私は急いでエレベーターに乗る。 バトルタワーは何十階もある。 そんな簡単には分からないはず。 今は1人。 声を出しても大丈夫だ。 お願いします、来てください!!」 […わかった。 助けて貰える。 ほっと私は胸を撫で下ろした。 ここからが勝負。 時間を稼がないと。 * 「あーあ…。 ん?これエレベーター1つ、だよな。 」 エレベーターは30階で止まった。 …くすくすっ、 「あぁ、これ表示されるようになっているんだなぁ…。 」 愛する、愛しいユウリ。 きっと、この事には気付いてないだろうな。 俺サマは降りてきたエレベーターに乗り込む。 もうすぐ、会える。 あぁ、なんて楽しくて、嬉しいのだろうか。 歪んだ笑みを浮かべながら愛しいユウリのものへ向かうのだった。 [newpage] 「危なかった…!」 私は30階の時点でどこで止まるのかが表示されるようになっているのに気がついた。 そして30階から50階まで階段を使って登ってきたのだった。 「ちょっと休もう…。 」 流石に20階分登ってくるのはキツい。 少し休んだらまた登ろう。 なんで?ここまで階段で来たのに。 どうしてここが分かるの?とりあえず、やり過ごさなきゃ。 どうしたらいい。 どうしたら…。 賭けてみるしかない。 私は階段のほうへ全速力で走った。 視界の隅に彼が映る。 気にしている暇は無い。 もう少し、あと一歩という所で私の体は動かなくなった。 …くすくすくすっ、 「やっと捕まえた。 」 私は彼に後ろから抱きしめられるような体勢で引き止められてしまったみたいだ。 「嫌っ…!離してっ……!」 私は激しく抵抗する。 しかし大人の体はビクともしない。 「どうしてそこまで逃げる?」 「こわい、こわい……、やだ、離して…。 」 「…へぇ、俺サマが怖いのか。 」 彼はそう言うと私を強く抱き締める。 …苦しい。 苦しい。 こわい…。 「…キバナさ…っ、くるし…。 」 「苦しいよなぁ。 俺サマも今苦しい。 愛している人に拒絶されて…さ。 何でも与えてるのに、どうしてそこまで嫌がるんだよ。 何、何が足りない?俺サマを愛しているんだったら人と会う必要も無いしさ。 」 「はなしてっ…!!」 「はーぁ…。 もう1回教え直さないと。 」 キバナさんがもっと強い力で私を抱きしめる。 肺に酸素が入ってこない。 息ができない。 くらくらする。 酸欠になってきているのかもしれない。 「…か、ひゅ、きば…なさ…っ。 」 意識が遠くなってゆく。 「ごめんなぁ?苦しいよな?でも、こうしないといけなくなったのはユウリのせいだぜ?」 …嫌だ。 あの場所になんか戻りたくない。 そう思うのに意識はどんどん遠くなる。 意識を失う前に私はこんな言葉を聞くのだった。 「愛してるぜ、ユウリ。 もう何処にも行かせてやらないからな。 」 あぁ、もうこの人からは逃げられない。 ~BADEND~ [newpage] このまま動けば見つかる可能性がある。 私は近くにあった柱の裏に隠れた。 もう彼がすぐそこまで来ている。 良かった、動いてたら見つかってた…。 私は息を潜める。 …くすくすくすっ 「うーん…?ユウリ?居ないのか?」 彼は楽しそうに笑いながらそう言う。 あぁ、怖い。 見つかったらどうなってしまうのだろうか。 ピタリと私のいる柱の後ろで彼は立ち止まる。 …嘘だろう。 見つかるはずないのに。 「ユウリは良い子だから居たら出てきてくれるもんなぁ…?出てこないって事は悪い子なのか居ないのか、だよな。 悪い子ではないから、きっと居ないんだろうなぁ…。 」 大丈夫、大丈夫。 キバナさんが私を精神的に揺さぶっているだけだから。 見つかってない。 私はそう自分に言い聞かせ、呼吸を整える。 足音が遠ざかっていく。 良かった、見つからなかった…。 キバナさんは階段の方へ行き、下へ行ったみたいだ。 私は足音が聞こえなくなってからそろりそろりと階段の方へ向かう。 「…いない。 」 良かった。 でもこのバトルタワーには入口は1つしかない。 ダンデさんに会うためにはどうすれば良いのだろうか。 キバナさんを上に誘導して、下に行くか…?駄目だ。 その前に捕まってしまう。 どうしたらいい、どうすれば…。 私は近くにキバナさんが居ないことを確認してゆっくり階段を下りる。 誰からだろうか。 私は周りに誰もいないことを確認して立ち止まる。 メールの差出人は私の待っている人だった。 ダンデさんからだ! 急いで内容を確認する。 私は返事を返す。 …入口まで。 この調子でならきっと大丈夫だろう。 私は確認をしながら階段を下りていく。 「ユーウーリーッ!」 「…!?」 呼吸が荒くなる。 キバナさんが後ろに…いる。 「最後のチャンスだぞ…?今、戻ってきたら許してやろう。 」 戻らない、絶対に。 私は呼吸を整え、全速力で階段を駆け下りる。 「…あ、そ。 」 キバナさんは一言そう呟くと、凄いスピードで私を追いかけてくる。 「まァ、子供が大人に勝てる訳ねぇよなぁ!?」 どうしよう。 すぐ後ろまで来てる。 ここになって歩幅の違いが裏目に出た。 「…はぁっ、はぁっ…。 」 必死に逃げる。 怖くて怖くて。 私は階段を踏み外してしまった。 …痛い。 走れない…! 「あーぁ。 ユウリ。 痛いだろ。 」 キバナさんはゆっくりと階段を下りてくる。 …ガラス?まさか。 「ユウリくんッ!」 キバナさんの後ろには1匹のポケモンと1人の大人。 「…ダンデさんっ!リザードンッ!」 ガラスを割ったであろうリザードンがひと鳴きする。 「大丈夫か!?怪我してないか!?」 「あー…また面倒な奴らを呼びやがって。 」 「…キバナ?これはどういう事だ。 お前がそんな事をする奴だなんて思ってなかったぞ。 」 「ふはっ、そーかそーかぁ。 お前には俺サマが手を出さない、良い子のドラゴンに見えた訳だ。 」 「…何?」 「いや?別に。 …で、ここまで来て何?ユウリを取り戻しに来たのかぁ?」 「…そうだ。 早くユウリから離れろ。 」 「それは無理だなぁ。 ユウリは階段から滑り落ちてしまったから足を捻ってる。 その怪我だけでも見てあげねぇとなぁ…?」 「そう言って、ユウリに近付くつもりだろう?」 「ま、どっちにしろユウリはそこから動けない。 俺サマの方が有利だ。 」 そんな会話を聞きながら私は考える。 …どうしたら逃げられる?足が痛くてここからは動けそうにない。 どうにかしてダンデさんの方に行かないと。 でもその前にはキバナさんがいる。 どうしよう、痛みがひくにはもう少し時間が必要だ。 どうすれば、どうすればいい…? 「あァ、いい事を思いついた。 …ダンデ、お前は俺サマにとって今は邪魔でしかないからな。 」 そう言ってキバナさんはボールからフライゴンを出す。 「…勝負か、キバナ?」 「はぁ?違うに決まってんだろ。 」 キバナさんはフライゴンに指示を出す。 …何かフライゴンが躊躇っている? 少し躊躇った後。 後ろにいたリザードンはそれを間一髪で避ける。 「あーぁ。 次は頼むぞ?フライゴン。 」 首を横に振りながら嫌だと言うようにフライゴンはひと鳴きする。 「…フライゴンは優しいなぁ。 やっぱり、人を傷つけるのは躊躇うか?」 「…キバ、ナ……?」 「キバナさんっ!!」 私は彼の名前を叫ぶように言う。 「んー?ユウリ。 どうしたぁ?」 「…も、もうやめてください!フライゴンを苦しめないで!」 「…ほぉ?じゃあどうするんだ?ユウリが大人しく捕まってくれればいい話だが。 」「っ…!」 「ユウリくん!そんな事をする必要はない!今そっちに行くからな!」 「…外野は黙ってろ。 なぁ、ユウリはどうしたい?聞かせてみろよ。 」 圧をかけるようにこちらへ振り向きキバナさんはそう言う。 「…わ、私はっ…。 」 「…答えられないだろ?皆、自分が大事だもんなぁ。 」 キバナさんはくるりと踵を返し、ダンデさんの方向へ向き直る。 そしてまた、指示を出そうとする。 …駄目だ。 これ以上フライゴンを苦しめるなんて…! 私がそう思い、走り出そうとした瞬間。 「…リザードン、エアスラッシュ。 「…キバナ、お前がその気ならこちらもそうさせてもらうぞ?」 「ははっ!おもしれぇ。 やってみようじゃねぇかっ!! 」 …これは。 ダンデさんが隙を作ってくれた…? そーっと私は少しずつ移動する。 足が少し痛むけど、歩ける。 大丈夫だ。 …あれ、何か聞こえる。 この鳴き声、聞き覚えがある。 「…ダンデさんのオノノクス…?」 私がそう言うとオノノクスは姿を表して、ひと鳴きした。 ダンデさん、ここまで計算してたの…?私を安全に逃がすために…。 オノノクスは私を抱えあげる。 「…わわっ!運んでくれるの…?」 返事するようにオノノクスはひと鳴きした。 「…ありがとう。 なんとか逃げられそうだよ。 」 * 「…ははっ!!楽しいなァ、ダンデ!?」 「キバナッ!いい加減目を覚ませッ!」 「何の事だぁ!?俺サマはいつでも平常だぜ!?」 「もうこんなにお互いボロボロなんだ。 もうやめにしようッ!!」 「…ほぉ??じゃあお前には消えてもらうとするかぁ!?」 キバナはユウリの様子を確認しようと振り向いた。 そして小刻みに震え出す。 ひと目で分かる。 完全に怒っている。 「…おい。 ダンデェ!!!!ユウリを何処に行かせたァ!?」 「…さぁ?俺は知らない。 ユウリくんの足が動くようになったんじゃないか?」 「さっさとお前には消えてもらうべきだったなぁ…。 」 キバナはそう呟くと手をスッと上にあげた。 「さよならだ、ダンデ。 ユウリは貰って行くからな。 」 そう言いながらキバナは手を下へと下げる。 次の瞬間。 俺の頭に鈍い痛みが伝わる。 ぐらりと歪んだ視界の隅ではキバナのジェラルドンが申し訳なさそうに俺の方を見ていた。 「…良い子だなぁ、ジェラルドン。 」 最後にこんな言葉を聞いて、俺の意識は無くなった。 [newpage] 「…っと、オノノクス。 ありがとう。 」 私はそう言いながらオノノクスを撫でる。 「…さてと。 キバナさんに気付かれるから出せなかったけど…。 出番だよ、アーマーガア。 もう少し、頑張ってくれる?」 アーマーガアは当たり前だと言うようにひと鳴きする。 私はアーマーガアに乗るとオノノクスに礼を言う。 「オノノクスッ!ごめんね、ありがとう!」 オノノクスは大きくひと鳴きした。 …さぁ、ここからが勝負。 後もう少しで夜明け。 頑張らないと。 * 「さ。 フライゴン、ジェラルドン。 行くぞ。 」 そう言って2匹をボールへ戻す。 下までエレベーターで降りていくと、入口にはダンデのオノノクスが佇んでいた。 「あァ、ダンデのオノノクス。 お前のご主人は上で眠ってるぜ?今すぐにでも行ったらどうだぁ?」 俺サマがそう言ってもオノノクスは動かない。 俺サマを威嚇するようにこちらをじっと見据えている。 「なるほどなぁ。 やっぱり、ポケモンはトレーナーに似るものなのかねぇ?」 いつ技が飛んできてもおかしくない。 でも俺サマは分かっていた。 コイツはそんな事はしない。 それはどうしてか?トレーナーであるダンデもそうだったからだ。 「オノノクス。 お前はそんな事出来ないだろう?大人しく、ご主人の元へ行った方がいい。 」 見抜かれている、と思ったのかオノノクスは威嚇するようにひと鳴きする。 「…ここで油を売っている暇は無いんだ。 」 俺サマはオノノクスに近付く。 「…な?早くそこを退いてくれないか?」 そう俺サマがプレッシャーを与えると、ダンデの事が不安になったのかそこを退く。 「うんうん。 良い子だな?」 そう言いながら入口を通り過ぎる。 そしてフライゴンをボールから出す。 「あーぁ。 時間をくっちまった。 何度もごめんな?フライゴン、出来るだけ飛ばしてくれ。 」 フライゴンは少し不安そうに、ひと鳴きした。 「んー…。 ユウリの行きそうな場所は…、やっぱりポケモン研究所だよなぁ…。 フライゴン、ブラッシータウンまで最速で頼むわ。 」 フライゴンがひと鳴きするとスピードがどんどん上がる。 「…さァて。 俺サマのユウリは何処まで辿り着いたのかな?」 俺サマは歪んだ笑みを浮かべながらそんな事を言った。 [newpage] 「…どうしたの、アーマーガア!?」 アーマーガアの様子がおかしい。 私はポケモン研究所に向かっている途中だった。 あそこならば、ソニアもホップもいるから。 でもなかなかスピードが上がらない。 何か、具合が悪いのだろうか。 それとも、無理をさせてしまったのだろうか。 心配するなと言うようにアーマーガアは鳴く。 「…アーマーガア。 やっぱり無理させちゃってるの…?ごめんね。 でも、ポケモン研究所までは頑張って…!」 アーマーガアは当たり前だと言っているようにひと鳴きした。 「ユウリィィィィィィィィィィィ!!」 後ろを向くとキバナさんがフライゴンに乗ってすぐそこまで迫っている。 待って、まさか。 さっき掠めたのはフライゴンの放った龍の波動…? 怖い。 「ッ!お願い、シャンデラ!シャドーボール!」 ボールから出てきたシャンデラはひと鳴きしてシャドーボールを放つ。 私はその隙にちらりと見えていたポケモン研究所に向かう。 地面に着地したアーマーガアをボールに戻しながらポケモン研究所の中へ飛び込む。 そして急いでドアに鍵をかける。 開いていた窓からシャンデラが入るのを確認して急いで閉め、窓にも鍵をかける。 そして、 「ユウリィ!!これ以上俺サマを怒らせないでくれ。 良い子だからここを開けてくれるよなぁ?」 良かった、間に合った。 「うーん…?どうした、騒がしいんだぞ…?」 聞き覚えのある、幼馴染の声。 「…ホップ!!」 「ユウリ!?今まで何処に行ってたんだ!?良かった、無事で…!」 ホップは乱暴に叩かれる扉の音、そして叫ぶキバナさんの声で全てを察したのか、私を抱きしめた。 「…苦しかっただろ。 辛かっただろ。 もう大丈夫だからな。 」 ホップは私を抱きしめながら安心させるようにそう言った。 「うん…、ありがとう。 」 「…さてと。 そろそろキバナさんが何らかの手段でこちらに来るかもしれない。 だから、ユウリは裏口から逃げてくれ。 」 「え…?ホップは、ホップはどうするの…?」 「俺は時間を稼ぐ。 大丈夫、そこまで体はヤワじゃない。 」 「でもっ…!相手は大人、だよ?無理に決まってる!一緒に逃げよう?もう数分で夜明け、私は開放されるから。 」 「それはできない。 逆に見つかりやすくなってしまう。 ユウリ、お願いだ。 」 必死そうにそう言うホップを見て、私は折れるしか無かった。 「分かった。 ごめんね、無事でいて…。 」 私は裏口の方へと走り、外へ飛び出す。 いつの間にか、乱暴に叩かれていた扉の音も、キバナさんの声も聞こえない。 私が逃げるのに気がついた?それなら早く、早く逃げないと。 ぐるぐると私は頭を回して考える。 「わかってたぜ、お前がここに来る事ぐらい。 」 声が聞こえる。 1番聞きたくなかった声が。 そして見えたのは大きな掌と鍛え上げられた腕。 「………ぁ…っ!?」 「やーっと捕まえた。 残念だなぁ?後数分だったのに、さ。 」 「嫌、嫌ァッ!離して、離してっ!」 私は激しく抵抗する。 しかし所詮子供の力。 大人のキバナさんの力には敵わない。 鍛え上げられた体はビクともしない。 こうなっては私の方が不利だ。 どうしたら…! 「ちゃぁんと、約束は守れよ?」 「お願いっ……!離して……っ!」 「やだ。 約束だろ?破る気なのかよ?」 ぎりぎりと私はキバナさんに後ろから抱き締められる。 …少し苦しい。 このまま力を加えられると肺が圧迫されて酸欠になってしまうのでは、と考える。 このままではまずい。 見たくない方はスルーして下さい。 ) [newpage] 「…ホップっ………!」 私がそう叫んだ瞬間、 「ふははははははははははっっっ!」 狂ったようにキバナさんが笑った。 そのすぐ後、私の顔を覗き込んで 「ユウリィィィ!!なぁんで、なぁんでその名前を出したァ!?!?」 ビリビリと私の耳を刺激する、甲高い声。 これは、怒っている声。 私の体は恐怖に支配され、ピクリとも動かない。 「あー…、ちょっと熱くなっちまったぜ…。 怖かったかぁ…?でもな、ユウリが悪いんだぞ?ホップなんて名前を出すから。 また教えてあげないとなぁ。 ユウリはすぐに忘れるからな。 」 何を。 何を教えるって言うの…?このままあの場所へ戻ってはいけないと、私の頭は危険信号を発している。 「嫌ッ…です…っ!離してっ…!!」 「まぁ、子供のユウリに力で負ける訳ないけどなァ?」 キバナさんは私の肩を掴んで方向転換させる。 私とキバナさんは向き合う形になってしまった。 「…じゃあユウリ。 聞くぞ?」 何が始まるのだろうか。 キバナさんは私の耳元へと顔を寄せる。 そして耳元で 「ユウリが1番愛している人は誰だ?」 と優しい声で囁いた。 どうしてそんな事を聞くのだろうか? 「……ホップ……。 」 私は小さな声でそう呟いた。 キバナさんはその言葉を聞き取ると表情が豹変する。 そして。 「…痛ッ…!!やめて、離してっ…!!」 ぎりぎりと私の腕を掴む手の力は強くなる。 「…違うだろ?さ、もう1回言ってみようか。 」 何が違うの。 私はそうなのに。 どうして、どうして? 力は弱まったが腕はまだじんじんと痛い。 私の返事を待つキバナさんの顔は優しい笑顔だった。 しかし今はその笑顔は恐怖でしかなかった。 「私っ…!!間違えてなんか、っ…!!」 「…間違えて、いるだろ?」 痛い。 さっきよりも力が強くなってる…!このままでは私の腕を折ってしまうのではないかというぐらいの力を加えられる。 「さァ、もう1回。 お利口に、言えるかな?」 …くすくすくすっ、けらけらけら。 キバナさんはうっとりとした表情で私を見つめる。 訳が分からない。 もう何と答えたらいいのか分からない。 パニック状態に陥っているのか、頭が回らない。 「……わから、ない……。 」 「あァ、わからないか。 言えるなんて、良い子だな。 そんな良い子のユウリには教えてあげよう。 」 「…ほんとう……?」 「あぁ。 嘘はつかないとも。 ユウリの愛する人は俺サマ1人で十分。 」 「キバナさん、だけ……?」 「そうだ。 と言うよりかはユウリは俺サマしか知り合いはいないだろう?」 そうだっけ。 …何か、何か大事なものを忘れている気がする。 数分前まで誰の名前を呼んでいたのだろう。 あぁ、思い出せない。 こわい、こわい。 分からないのはここまでこわいものなの?それとも、また別の恐怖?…たすけて、誰か、誰か。 私は苦しそうにキバナさんにもたれかかる。 「…あァ、苦しそうだ。 可哀想に。 何が苦しい?」 「…わからない、わからないのがこわい…。 なにかをわすれているきがしてこわい。 …だれか、だれか。 たすけて……。 」 「そうかそうか。 わからないものだらけだから怖いのか。 大丈夫、俺サマが導いてやるから、さ?」 そう言いながらキバナさんは私の頭を片手で撫でる。 あぁ、安心する。 …でもなんだろう。 安心する裏にあるこの気持ちは。 …恐怖?私を助けてくれる人に対してどうして恐怖を抱いている? 「…ユウリ。 」 名前を呼ばれ、キバナさんの顔を見る。 いつもの、笑顔がそこに浮かんでいた。 「…キバナ、さん……?」 不意にキバナさんの顔が近くなり、唇を重ねられる。 「…んっ、ふ…ぅ……。 」 舌を絡め取られ、唾液を流し込まれる。 「…ふはっ、やっぱり良い顔するなぁ?」 ぼーっと私は何も考えられなくなり、キバナさんを見つめる。 「…さァ、ユウリ。 良い子だから、もう1回言えるよな?ユウリの愛している人は、誰だ?」 「…私の、愛している人は…。 キバナさん、だけ。 」 …くす。 「よしよし、よく言えました。 ユウリはやっぱり良い子だなぁ。 」 きらきらとした笑顔で私は頭を撫でられる。 「…えへへ。 」 そう褒められて嬉しくなる。 「さ、ユウリ。 お家に帰ろうか?」 「…お家?」 お家、という単語を聞いて私の背中はぞわりとする。 なんだろうこの感覚。 「…そ。 ユウリを俺サマは一緒に暮らしていたんだよ。 」 「…そっか。 お家、かえる……。 」 こう言って良かったのか。 私には分からない。 その言葉を聞くとキバナさんはにこりと笑ってフライゴンをボールから出し、私の手を掴んでフライゴンの上に乗せた。 こうして、またあの生活へ戻ってゆく。 ~BADEND~ [newpage] 「…キバナさんっ……!」 「…なんだぁ?ユウリ。 お家に帰る気になったか?」 「違うっ、なんで、どうして?私はキバナさんの事が大好きだったのに!どうしてこんな事するんですか…!」 「…へぇ。 これが俺サマの愛情表現だから、さ。 仕方ない事だと思わないか?」 「好きになった人の気持ちを考える、というのはないんですか!私はずっと考えいたのにっ!貴方のために、一緒にいた。 苦しかったけれど、ずっと我慢してたんですよ!」 「…何を我慢してた?別に、俺サマの事が好きなら我慢する事は無いだろ?」 「私だって子供です。 まだまだやりたいことがある。 そこを制限されるのが嫌だったんですよ。 」 「…じゃあどうすればいい?俺サマは生憎、これ以上の愛情表現を知らない。 一体、何を望んでいるんだよ。 」 「どうすればいいとは私は言いきれません。 でも、私はキバナさんの傍に居ることは出来ます。 ゆっくり、焦らずにその答えを見つけていけば良いじゃないですか。 」 「…本気で言ってる?」 「勿論です。 私は貴方のことが大好きだから。 」 「…成程。 ユウリは賢くて、良い子なんだなぁ…。 」 「あぁ、でも条件はありますよ? 1、私をいつまでも好きでいる事。 2、週に一回、自由な日を作る事。 それだけあれば私は十分です。 」 「これは驚いた。 強いんだなぁ?ユウリは。 俺サマにここまで言えるだなんて。 」 キバナさんはにやりと笑って私の顔を覗き込む。 「…条件はそれだけで良いのか?それ以外のことなら俺サマは何でもするぜ?」 「適度に、ですよ?」 …けらけらけら。 「あァ、そうか。 ま、俺サマも大人になるまでは待ってやるよ。 そこはちゃぁんと大人だからな?」 「…有難いです。 」 私はそう言ってにこりと笑った。 「んー…でも、」 キバナさんは私の顎を掴み、上に向けたまま私の顔を固定する。 …ぢゅぅっ 不意にキバナさんの顔が近くなり、唇を噛みつかれるように重ねられる。 「…!?」 私は捕食されているような感覚に陥る。 キスしているというよりは唇を食べられているようだ。 「あー…、受け入れられると我慢できなくなりそうだわ。 」 「…いきなりっ、何するんですか!」 私は息を整えながらキバナさんに向き直る。 「まーまー、そんな怒んなって。 」 にぱーっと笑いながら私の頭をキバナさんは撫でる。 …う、この笑顔をされると反論しずらい… 「さてと。 良いんだな?ユウリ。 」 「…勿論です。 私は貴方に着いていきます!」 「条件はちゃんと守ってやるからよ。 また、ポケモン勝負するかぁ?」 「え!やりたい、やりたいですっ!」 「おーおー、そこまでか。 分かった分かった。 外にも出してやるから。 」 「ありがとうございますっ!」 「…あァ、ユウリ。 お前の事、食らうかもしれねぇがそれでも大丈夫か?」 今更だ。 そう思いながら私はキバナさんに近付き、キスをする。 突然だったからか少し驚いている様子だった。 「…大丈夫ですよ。 心配しなくても。 」 「そうか。 ありがとな。 」 キバナさんはわしゃわしゃと私の頭を撫でくり回す。 私の大好きな笑顔を浮かべて。 ~HAPPYEND~ [newpage] 「…インテレオンッ…!!」 私がそう相棒の名前を呼ぶと、ボールからインテレオンが飛び出す。 そして、私を捕まえているキバナさんに向かってねらいうちをした。 「…ぐっ……!?」 キバナさんはその衝撃を受け流す事が出来ず後ろへ倒れる。 背中に冷や汗が流れる。 恐る恐る私は後ろを見ようと振り返る。 「…キバナ、さん……?」 返事がない。 そして、私が見たのは。 …頭から血を流すキバナさんだった。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 私はパニック状態に陥る。 インテレオンは不安そうにこちらを見ている。 …私が、私が?私が殺した?違う、違う!これは不可抗力だ、違う、やってない! 「ユウリくんッ!」 この声。 「…ダンデさんっ……!違う、違うの。 私じゃないっ…!!」 リザードンに乗ったダンデさんが地面に着地して状況を把握する。 「分かっている、分かっているから…!」 そう言ってダンデさんはキバナさんを抱えてリザードンに乗せる。 「ユウリくん、大丈夫だから。 」 私を落ち着かせるようにダンデさんは言う。 そして、リザードンに乗って飛び去ってしまった。 私はただただその場に座り込む事しか出来なかった。 「ユウリッ!」 「…あ、ぁ?…ホップ…?」 「ユウリ、どうしたんだ。 キバナさんは!?ごめんな、俺さっきまで気絶していたみたいでさ…。 」 「キバナさんを、私、が…、」 「…?ここまで震えてどうしたんだ?」 「ああああああああぁぁぁ!!」 私は気がおかしくなっていたみたいだ。 自分がやってしまった事への後悔が押し寄せてくる。 「ユウリ!?ユウリッ!落ち着け、落ち着け!大丈夫、大丈夫だから!」 ホップの声が遠くなる。 * 「…ん。 」 私は目を覚ます。 周りを見渡すとそこは見覚えのある場所。 ポケモン研究所の 「…ユウリ?大丈夫か。 」 「…ホップ。 ごめんね、私ちょっと気が動転してたみたい…。 」 「全然大丈夫なんだぞ!…何があったかは全部兄貴に聞いたから。 」 「あ…、そうだったんだ。 」 「…あれはユウリのせいじゃ無いからな!」 「……どうなったんだろう。 あのまま死んじゃったら私が殺した事になるのかな…。 こわい、こわいよ。 私はただ逃げてただけなのに……。 」 「…大丈夫だぞ、ユウリ。 」 「…保証はあるの…?ないでしょ…?」 「…っ。 今から俺は病院に向かうけど、ユウリはどうする?」 「……良かった。 でも、どうしよう。 怖い、けど。 謝りたい。 」 「そうかそうか。 俺も行くから大丈夫だぞ!守ってやるからな!」 「…ほんと?」 「あぁ、勿論だ!」 「ありがとう、それなら行く…。 」 私達は外へ出ると、ホップの出したアーマーガアに乗る。 早かったなぁ。 」 「キバナさんは?」 「もう大丈夫だそうだ。 ついさっき意識が戻ってな。 しかし、頭を強く打ったのか軽い記憶喪失になっているみたいで、また俺達とキバナの前の関係を教えてやらないと。 」 「…そうなのか。 ユウリに会っても、大丈夫かな…?」 「多分大丈夫だろう。 」 「…ユウリ?」 「ん?キバナ。 ユウリという名前に聞き覚えがあるか?」 「あぁ。 どうしてかは分からないが…。 」 「ユウリくん、入ってこれるか…?」 私はまだキバナさんの事が怖くて病室に入れていなかった。 恐る恐る足を踏み入れる。 「…もう少し近くまで来て貰えないか?あまり顔が見えない。 」 私はもう少し近付き、ベッドの傍へ。 私の方をキバナさんはじっと見つめる。 」 「あぁ、そうですか!分かりました。 」 「兄貴は方向音痴だからな!俺も着いて行くぞ!」 「え、ホップ…??」 そう言って2人は病室から姿を消した。 「なァ、ユウリ。 」 私は腰を掴まれて引き寄せられる。 「…何を…!?」 キバナさんはにやりと笑いながら 「大変な事になったなァ?俺サマ記憶喪失になっちまった。 あァ、でもユウリの事は全部覚えているぜ?この怪我は、お前のせいだもんな?」 「っ…!?」 「あーぁ。 どうしてくれんの?アイツらの事、思い出せないじゃねぇかよ?俺サマのライバルで旧チャンピオンとその弟の事を、さ。 」 …!?どうして分かるの。 まさか…。 「記憶喪失のはずじゃ…っ!!」 …くすくすくす。 「そうしておけば色々と良いところがあるからさぁ。 まぁでも、痛かったんだぜ?死ぬ寸前だったかもしれなかったんだしさ。 」 「…ごめんな、さい……。 」 「あァ、謝るなんて良い子。 可愛いな。 」 ぎゅうっと抱き締められる。 私は恐怖に支配され、動けない。 …ガラガラッ 「手続きしてきたぞ!」 「おぅ、ありがとうな。 」 「…キバナ、ユウリくんと話して何か記憶は?」 「…ごめん。 何も思い出せない。 ユウリの事はしっかり覚えているんだけどな。 」 「うーん…?何でユウリの事だけ覚えているんだ…?」 「…ん。 そういえばどうしてユウリくんを抱き締めているんだ?」 「んーいや、安心するなぁと。 」 「そうかそうかぁ。 ま、前のお前になら怒っていた所だが今は不安でいっぱいだろう。 」 「その中で退院するのって大丈夫なのか、兄貴?」 「うーん…、安心する人のところで一旦面倒を見てもらった方がいいかもしれないなぁ。 」 …ダンデさん?何を言っているの。 何で、キバナさんの事ばかり気にするの?私を、私を閉じ込めていた人なのに。 2人共、それは分かってるはずなのに。 そう言いたいのに声が出ない。 キバナさんが目の前に居ることが怖い。 「おぉ、そりゃあ名案だな。 えーと…ダンデ、だったか?」 「だろう?ユウリくん、君はどう思う?」 「えぇと………。 」 キバナさんはこちらをじっと見据える。 圧をかけられているみたいで怖い。 「良い案、ですね……。 」 「おぉ!ユウリならそう言ってくれると思ったぞ!」 「じゃあとりあえずは安心できるユウリくんに面倒を見てもらうという感じで良いか?」 「俺サマは構わないぜ。 」 「えっ…、ちょっと待ってくださいっ……!」 「なんだ、ユウリくん?」 「2人共、私がキバナさんにされた事を考えて言っていますか…??」 「えぇ?ただ鬼ごっこをしていただけだろう?まぁ、少しはキバナも暴走していたが…。 」 口を揃えて2人が言う。 …まずい。 2人にまだ事情は話していなかった。 あの状況で全てを分かってくれると思っていたのに…! 「…鬼ごっこ?何だ、俺サマ迷惑かけたか?」 「……っ!?」 太ももに鋭い痛み。 キバナさんが私の太ももに爪をたてている。 キバナさんと目が逢う。 その目は笑っていない。 全てを話したら、どうなるか。 怖い、この目の前の存在が怖い。 小刻みに体が震え出す。 「さて!とりあえず手続きはしてきたから外に出ようか!」 2人はその私の様子に気付かず病室から出て行く。 その様子を見てキバナさんも立ち上がる。 そしてキバナさんの顔が耳元に近付き、こう囁いた。 「俺サマを怪我させたんだ、逃げるんじゃねぇぞ?」 震える、震える。 声が出ない。 「さ!行こうか、ユウリ。 2人共きっと待ってる。 」 にこりと笑ったキバナさんの顔は恐怖でしかなかった。 「キバナ、ユウリくん?早く外に出ようぜ!」 ひょいっ、とダンデさんがこちらを覗く。 「おぉ、今すぐ行く。 」 私は腕を掴まれ、引っ張られる。 …あぁ、もう駄目なんだ。 この人の思惑通りにこの世界は動く。 何処からでも手を回して、私を捕まえる。 逃げようにもこの人を怪我させてしまった時点で全てが終わり。 その後はなんとでも言える。 キバナさんは不意に振り返り、こう言った。 「ずっと一緒にいような、ユウリ。 」 ~TRUEEND~ [newpage] 読んでいただき、ありがとうございます!何処にでも手を回すキバナさん怖いですね BADEND 捕まって終わるENDが多かったかなと思います。 最後のBADENDはユウリちゃんがじわじわと洗脳されております。 パニック状態なので洗脳するのは簡単だったのかな。 TRUEEND ユウリちゃんは自分のインテレオンがしてしまったことに後悔をしまくっています。 そこを上手くキバナさんは利用して、逃げられないようにしてますねー…。 ここでの裏話なんですが、ユウリちゃんのインテレオンはすごく優しいのでそこまでねらいうちを強くしていません。 本来ならそこは受け止められる所なんですが、キバナさんはそれを分かっていてわざと、後ろに倒れました。 ユウリちゃんを手に入れるために。 倒れた事で死ぬとは思っていなかったのでしょう。 HAPPYEND HAPPYENDはユウリちゃんが条件を出して受け入れる、という終わり方ですね。 キバナさんからしたらユウリちゃんと一緒に居られるので結果オーライ、ユウリちゃんはポケモンバトルもできるしキバナさんも居るので結果オーライという事になりますね。 幸せな終わり方、この後2人がえちえちするのを誰か書いてください(なげやり).

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キバユウ ヤンデレ

非公式の二次創作であり、設定や口調、性格が異なりますが、この時間軸での事です。 ご了承願います リクエスト分です。 リクエスト下さった方、ありがとうございます。 また監禁や誘拐は現実世界では絶対にしてはいけない事です。 ご理解下さい。 今回はタイトル通り、ヤンデレのネズさんと真っ黒なキバナさんが言葉で殴り合いをしております この作品にはアナタの嫌いな要素が入っている可能性もございますが、全て自己責任で読んで下さい。 また無断転載等は止めて下さい クリスマスまでリクエスト募集しております。 注意 ・非公式の二次創作です。 ご理解願います ・口調や設定、性格が異なりますが、この時間軸での事です。 ご了承願います ・リクエスト分です。 リクエスト下さった方、ありがとうございます ・監禁や誘拐はあくまでネタです。 現実では絶対に行ってはいけません ・多少のネタバレが入っております。 プレイ済の方が楽しめるかと思います ・酷い妄想です ・駄文です 以上の事を踏まえて、何が遭っても自己責任で読まれ、無断転載をしない方のみ、どうぞ [newpage] [chapter:ヤンデレのネズさんと真っ黒なキバナさんに言葉の殴り合いして貰った] ナックルシティのナックルジム。 そこにネズがやって来ていた。 珍しい事も有るものだと周囲が見ている中、誰も声を掛けられなかった。 彼が纏う空気が余りにも重く、刺々しく、声を掛けられずに居たのだった。 それに加えて、急いでいる様子だった。 足早に、今にも走り出しそうな勢いで、何処かに向かっているのだった。 「ね、ネズさん・・・!?」 スタジアムの関係者以外に入れない扉の前でジムトレーナーの一人が彼に気付いて、声を掛けた。 そこは一般人とは違い、キバナに鍛えられているトレーナーだ。 ネズが纏う空気が怖くても声を掛ける事は出来るのだった。 恐る恐るだが。 これがキバナだったら、堂々と話し掛けていた事だろう。 「キバナは何処ですか?」 「キバナ様なら、今、トレーニングをしておりますが・・・」 「・・・分かりました」 トレーニングルームへと彼は足を運ぶ。 元とは言え、スパイクタウンのジムリーダーだった事も有り、止める者は誰も居なかった。 SNSでキバナが写真を撮っているとは言え、関係者以外立ち入り禁止地区であるトレーニングルームにも足を運ぶ事が出来た。 トレーニングルームではキバナが一人黙々とウォーキングマシーンの上で走っていた。 一定の速度で、タンタンと走る姿は美しさすら有り、この様な状況でなければ、ネズも綺麗だと素直に想っていただろう。 この様な状況でなければ。 「キバナ」 「ん、ネズ、か。 どうした?」 「どうした・・・だと?」 彼の事を調べに来たのだが、その言葉にネズは目を細めた。 今まで隠していた怒りと焦り。 それが爆発する。 歯を剥き出しにして、怒りを彼にぶつける。 「ふざけるなっ!ユウリが行方不明になってからもう一週間ですよ!?お前は何とも思わないんですか!?」 その言葉にキバナが顔を上げた。 トレーニング器具のスイッチを止めて、降り立つ。 ネズを真正面から見ながら彼は目を細めていた。 静かに彼も怒っている。 怒りを剥き出しにする事はないが、陽炎の様にキバナの周囲を包み込んでいる。 それだけで分かる。 彼はネズの言葉だけではなく、別の事でも起こっている事も。 「今すぐにでも会いてぇよ・・・」 目線を逸らしながら、キバナは絞り出す様な声音でそう言った。 本当は叫びたいのだろう。 それを堪えているので、美声が台無しになるような、絞る様な声であった。 「それなら、こんな所でトレーニングなんか・・・」 「なぁ、ネズ、オレサマ達はジムリーダーだが、いや、お前はもう違うけどよ・・・そこじゃなくてよ、オレサマ達が出来る事って、何だ?それこそ然るべき機関に任せておくのが一番だって分かってんだろ?無闇矢鱈と調べて、逆に証拠がなくなったら、困るだろうが」 「だが・・・」 「何も出来ないって訳じゃあねぇのは分かる。 俺だって、トップジムリーダーじゃなかったら・・・!今すぐにでもユウリのもとに向かっているさ・・・けど、それが出来ねぇんだ。 俺はジムリーダーだから・・・許されてねぇんだ」 しかし今までのキバナの発言には何か引っ掛かる事が有った。 彼は先程からユウリに会いたい、ユウリのもとに向かいたいと言っている。 それはまるで彼女が何処に居るのか、知っているような口調だった。 しかしキバナがユウリを監禁していない事はネズも調べている。 真っ先に彼の家に入り込み、探したのだから。 この男なら、やりかねない。 そう思っての事だった。 「知らねぇよ・・・つか、お前、オレサマん家とか、オレサマの周辺調べただろ?それで何も出て来なかっただろ?あと何、オレサマ、調べてんの?」 「お前ならやりかねない」 「オレサマの事、何だと思ってんの・・・」 「支配欲の塊、独占欲の塊、ですね」 「その言葉、そのまま返すぜ」 キバナはネズをしっかり見た。 その目は何時もの垂れ目ではなく、据わっており、きりっと上がっている。 まるでポケモン勝負の時の様だった。 「かく言うお前だって、怪しんだぜ?」 「俺が?」 「そうだ。 ユウリにやけに執着しているじゃあねぇか。 何時もやる気が無くて、気怠そうなお前がユウリの事になると、何時だってやる気に満ち溢れている。 それだけ執着しているって事じゃあねぇか。 気付いてねぇのか?あ?」 「妹の親友の事ですよ、誰だってやる気を出すでしょう・・・」 「・・・」 それならば、親友であるマリィの方が此処に居るべきなのだが、そうではない。 ネズが居る。 恐らくマリィには危ないから、ジムを空けてはいけないからと言う理由で、止めているのだろう。 だから代わりに自由な自分が彼方此方を放浪している、と言う訳だろうか。 そんな理由で。 有り得ないとキバナは思う。 ネズは自主的に動いている。 妹の代わりではなく、自分の為に動いていると彼は考える。 「まぁ、良いけどよ。 ユウリを見付けた後、お前、何する気だ?」 「何、とは?」 「なーんかさ、不穏な空気が有るつーの?例えば、だ。 もしもの話だが、見付かったとして、お前はそのまま自分が捕まえちゃうんじゃねぇの?ユウリを」 「何を馬鹿な・・・俺がそんな事をすると思っているのですか。 馬鹿馬鹿しい。 有り得ない話ですよ」 「どうだかな・・・意外にお前の家を探ったら、ユウリが出てきたりしてな」 「笑えない冗談以上に面白くないものはないですよ。 存分に調べて下さい。 何も出て来ませんから。 探られても痛くも痒くも有りませんよ」 「ふぅん」 本当に痛くも痒くもないのか。 キバナは何と無く。 何かは出て来そうな気はした。 ユウリではないとしても、何か。 他の何かが出て来そうな気がならないのだった。 何が出て来るかは不明だが、何かが出てくる気がしたのである。 今度調べてみるかと思いながら、キバナはネズを見た。 「・・・まぁ、何か遭ったら、然るべき機関が教えてくれるし、俺達は粛々と待っていようぜ」 「俺は俺で調べますよ。 お前も調べてくれ」 「出来る範囲な。 でも何か分かったら、お前にも教えるよ。 ジムリーダーだから、そのパイプ使って、委員会・・・いや、ダンデが既に動かしていたか。 まぁ、それだったら、すぐに出て来るさ。 意外に一人でふらっと冒険に出てただけかもしれねぇし・・・チャンピオンだが、まだまだ子供だからな。 報告忘れだって有り得るし・・・・そうであって、欲しいけど、な・・・」 「・・・もう一度言うが、お前ではないのですね?」 念の為にネズはもう一度だけ尋ねた。 念の為。 表立ってはそう言っているが、内心では彼が今回の犯人だと思っているのだった。 しかし何処を探しても、ユウリは出て来ない。 家ではないとしたら、果たして何処に隠しているのだろうか。 怪しい事は何一つしていない。 だが、逆に何時も通り過ぎて。 彼ならばユウリが居ないだけで、もっと何かしらのリアクションをするだろうに。 だから余計に可笑しくて、怪しいけれども。 「俺じゃあねぇよ。 お前じゃないのかよ?」 「俺な訳がないですよ」 お互いに肩を落とした。 此処で言い合っていても仕方ないと二人共、思い直したようだ。 目線を逸らして、言葉での殴り合いを止めた。 「ともかく今のお前は少し頭を冷やせ。 こんな所まで来て、俺を問い詰めた所で何も出て来やしねぇよ」 「そのようですね・・・失礼しました。 でもお前もちゃんと調べて下さいね」 「やれる範囲だけ、な。 然るべき機関に任せておくが一番だって、オレサマ、お前と違って、ちゃんと理解しているから」 「・・・」 「ま、お前も無理しねぇ程度に調べろよ」 そう言われたネズは静かにその場を離れる事にした。 キバナを問い詰めた所で、何も出て来ない。 それが分かっただけでも、一歩前進だと思いながら、後にする事にした。 「・・・」 一方のキバナはネズが去ったのを見送り、一度彼の家を探らないといけないなと思った。 何か良からぬモノが出て来そうだ。 後々が怖いので、今の内に調べておいた方が良いだろう。 彼は果たしてユウリをどうしようとしているのか、きちんと調べておきたかった。 [newpage] 数日後、キバナはネズの家に侵入していた。 スパイクタウンに自分が居ると目立つが、エール団に変装してしまえば、簡単に侵入する事が出来た。 訛りは黙っていれば、気付かれない。 寡黙を装いながら、こっそりとネズとマリィの家に入り、彼の部屋を見る。 シンプルな部屋だ。 片付いており、物は少ない。 ベッドと机、それに蓄音機とレコード一式。 それ位の部屋なのだが、何よりも目に付いたのは壁から伸びた無骨な鎖とその先に繋がれた首輪だった。 首輪は大きくなく、丁度ユウリの首に納まりそうな大きさだった。 「はっ」 キバナは鼻で笑った。 口では何と言おうとも、彼はユウリを見付け次第、捕まえようとしているようだ。 きっと心配だからと言いながら、監禁してしまうのだろう。 何とも恐ろしい男だとキバナは思う。 「だが、此処には居ねぇ」 それは安心出来る事だった。 彼女をまだ見付けていない。 捕まえていない。 無論、これからもそんな事はさせないけれども。 けっして、ネズには彼女を見付けられないだろう。 何せ彼女は自分の手元に居るのだから。 「俺の方が一歩早かったな、ネズ」 此処には居ない彼に勝ち誇ったように言って、キバナは部屋を後にした。 キバナが向かった先は自分の根城となっているスタジアムだった。 此処はかつてマクロコスモスが入っていたジム。 堅牢な城塞の様なスタジアムはマクロコスモスが使っていた隠し部屋だって、幾つか存在している。 今はダンデがローズの代わりを務めてくれているが、このスタジアムの隠し部屋の事は把握していない。 それを彼は利用している。 迷路のような廊下を突き進み、辿り着いたのは小さな部屋だ。 窓はなく、中にはもう出入り口とは別の扉が一つ、ベッドと小さな冷蔵庫、日用品、それに本棚しかない。 そんな部屋だ。 その昔と同様に大事なモノを隠す為にキバナは此処を使っていた。 「ユウリ」 「キバナさん・・・」 壁から伸びる足枷を付けられているユウリが一人ベッドの上で読書をしていた。 それだけがこの部屋で許された娯楽である。 彼女はガラル地方の童話を読んでいたようだ。 ぱたんと閉じて、顔を上げる。 「良い子にしていたか?」 「見ての通りですよ」 「なら、良い子だ」 彼女に近寄って、その頭を撫で回す。 柔らかい髪にキバナは目を細めていた。 愛しいなぁと思いながら、隣に座り、膝の上に乗せた。 「なぁ、今日、ネズの家に行って来たんだ」 「ネズさんの?」 「そうそう、あいつ、やべぇぞ。 お前の事、監禁しようとしているんだぜ。 準備してやがった。 まぁ、あいつは一歩遅かったけどな」 「・・・」 「安心しろ、俺がお前を手放す事は絶対にねぇし、此処が見付かる訳もねぇんだから」 きゅっと抱き締めて、キバナは彼女を覗き込んで、微笑んだ。 彼女が悲しげに微笑んでいる事に気付かずに彼は楽しげに笑っているのだった。

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#ポケモン剣盾 #キバユウ ガチヤンデレさんが現れた▼

キバユウ ヤンデレ

注意 ・非公式の二次創作です。 ご理解願います ・口調や設定、性格が異なりますが、この時間軸での事です。 ご了承願います ・ネズさんとユウリちゃんが付き合っています ・後味が悪い話です ・博多弁は分からんとです・・・お許し下さい ・『男』はネズとキバナ、何方でも良いです。 或いは両方かもしれません。 只管に。 唯々、同じ動きをしていた。 同じ場所に手を振り下ろしては、振り上げている。 それを何度も何度も繰り返している。 まるで壊れた玩具の様に。 「ユ・ウ・リ!一緒に着替えよ!」 シュートシティのシュートスタジアム。 先程、トーナメントが終わった後の事だ。 その選手控室で、マリィが親友のユウリに抱き着いてそう言っていた。 何とも微笑ましい光景である。 コートの上ではチャンピオンとジムリーダーの関係でお互いに手加減無用なのだが、オフの時は別で、とても仲の良い二人だった。 何せ、ユウリが彼女の兄のネズと付き合っており、マリィとの仲もぐっと近くなっているのだった。 楽しげに笑っている二人を一同に微笑んで見ている。 本日、試合で良い所までチャンピオンのユウリを追い込んでいたキバナも笑って、その光景をスマホロトムで撮ろうとしている始末だ。 しかしそれに気付いたユウリが手で大きくバッテンを作る。 「あ、今はオフでーす!」 「つーまらん」 スパイクタウンの方言でだーめとマリィが言っている。 仕方ないなと肩を竦めて、キバナはスマホロトムを仕舞った。 下手に撮らない方が良いだろうと判断したようだ。 写真を断った二人はきゃっきゃっと無邪気に笑い合い、更衣室へ向かう。 本当に微笑ましい限りだ。 その時までは皆も笑っていた。 ユウリもマリィも、それにキバナも皆も笑っていた。 唯々、微笑ましい光景が広がっていたのだが、それはすぐに終わる事になる。 ユウリが更衣室の自分に宛がわれたロッカーを開けた瞬間だ。 それが目に入る。 ズタズタに貫かれて、ボロボロになっている人形だ。 鋭利な何かで貫いているのだろう、大半の中の綿が出てしまっている。 刃物の先で掠めているのか、布地も擦れて、斬り裂かれている。 首の部分が半分以上、ごとんと落ちている。 辛うじて人形の形を保っているだけだ。 それが人形だと分かるまでに時間を要する様な、無残な人形だった。 しかし驚かせたのはそれだけではなかった。 その人形はズタボロでも、その一部からユウリを模しているのが分かった。 出店で売られているユウリの人形だ。 それが刃物でズタボロにされているのだった。 しかも彼女のロッカーに入っている。 まるで見せ付ける様に。 「きゃああああっ!?」 それを目に入れて、数秒の後、頭が理解を拒絶していたユウリも漸く事態を呑み込めて、悲鳴を上げて、後退った。 目の前が真っ暗になりそうだった。 脳味噌が現実を拒絶している。 頭を左右に振り、彼女は目の前の事実から逃げようとしていた。 「ゆ、ユウリ!?」 マリィが後退ったユウリを見て、それからロッカー内を見た。 そのズタズタに刃物で貫かれている人形を見て、彼女も顔を青褪めた。 悲鳴を聞き付けたのか、外からノックがされた。 ごんごんと叩く音は慌てている様子だった。 悲鳴を聞いて、すぐに来てくれたのだろう。 そのノック音が今は安心出来た。 「おい、どうした!?ゴースでも出たか!?」 返事が無かったので、キバナが開けるぞ!と言って、ドアを開けた。 それと同時に怯えたユウリが飛び込んで来た。 小刻みに震えている。 よっぽど怖かったのだろう、ぎゅぅと抱き着いて離れない。 「お、おい!?どうしたんだ?なぁ?」 片手でよしよしとキバナはユウリの頭を撫でながら、マリィを見る。 悲鳴を上げていない彼女ならば、まだ話が通じると思ったのだった。 「あ、あれ・・・」 「あれ・・・?」 マリィが指差す方を見て、キバナは目を丸くした。 彼も驚いた様子でその光景を見ていた。 しかし悲鳴を上げなかったのは最初から悲鳴を聞いていて覚悟していたのか、それともユウリが抱き着いていたからだろうか。 或いは大人だからだろうか。 もしくは何かしらの理由が有るのだろうか。 しかしながら、流石の彼も驚いてはいた。 「な、何だよ、あれ・・・」 「わ、分からん。 でも、ユウリが開けたら、あの人形が・・・」 「それで怖がった訳か・・・」 抱き着いて離れないユウリを見ながら、キバナは可哀想に・・・と目を下げていた。 今は年長者として片手で彼女を抱き留めておく事にしていた。 空いた手で彼女の頭を撫でながら、大丈夫だ、俺が居るからなと何度も言っている。 その姿はまるで優しい兄のようであった。 「どうした!?」 後ろからネズが顔を出した。 先程、一足先に着替えに出ていた彼が悲鳴を聞き付けて、戻って来たのだった。 タオルを肩に乗せて、慌ててやって来たようである。 それから妹と恋人を目で探して、無事である事にホッとした。 「ネズさぁん・・・」 キバナのお腹から顔を上げて、ユウリはネズを見て、涙を浮かべ、泣き始めた。 ボロボロと涙を流して、キバナの服を握っている手も更に力が込められた。 服を握られているキバナは心配そうに彼女を覗き見ながら、彼女の頭を撫でていた。 「何が遭ったんですか・・・?あと離して下さい、キバナ」 「はぁ、無茶を言うなよ。 大体、こんな時に嫉妬している場合か」 「?」 「見てみろよ」 シャープな顎でキバナはユウリのロッカーを示して、見てみろと言った。 ネズは言われるがまま、其方を見ると、そのボロボロの人形に気付いた。 彼は驚いて、目を丸くした。 息を呑み、一歩引いて、キバナを見た。 「ど、どう言う事、ですか・・・?」 「知るかよ。 オレサマも来たら、あの人形が置かれていたんだ」 「マリィ、どう言う事だ?」 妹には敬語ではなく、ため口で尋ねた。 「アタシも知らんよ。 ユウリと着替えに来たら、既に置かれてん・・・」 「ストーカー、と言う事、か・・・」 こんな事をするのはユウリのストーカーか、もしくは誰かの熱烈なファンで、チャンピオンのユウリの事を恨んでいるか。 何方かは分からないが、何にせよ、酷い話だが。 「そうなると思う・・・」 「それで俺に抱き着いているって訳だ。 よっぽど怖かったんだろうよ」 心配させないように、怖くないようにとユウリを撫でながら、キバナは答えた。 ボロボロと涙を流している彼女はキバナから離れようとしなかった。 こんな事は初めてで、恐怖で涙が止まらないのだろう。 何時もチャンピオンとして燦然と輝く彼女だが、こう言う所はまだまだお子様だった。 気味が悪くて、怖くて、涙を流している。 「犯人の目処は?」 「立っていると思うのかよ。 オレサマもさっき来たばっかりだ。 今から現場検証って所。 んー・・・何か証拠が在れば良いだけどな」 「それなら、お前が何時も写真を撮っているでしょう。 何か残っていませんか?」 「成程」 そう言って、キバナはスマホロトムをポケットから取り出した。 親指を使い、テキパキと中身を確認して、首を左右に振る。 どうやら何も映っていなかったようだ。 「オレサマしか映ってねぇな」 「見せて」 「ほらよ」 「ユウリも見てみ」 「・・・」 泣いていた彼女だが、犯人への手掛かりの為に涙を拭って、スマホロトムの画面を見た。 そこに映っていたのはキバナばかりだ。 当然と言えば当然だが。 試合の時の写真や、負けてしまった写真。 それに控室で待っている写真等。 キバナを中心に様々撮られていた。 「キバナさんばっかりだ・・・格好良いね」 「おう。 ほら、ちゃんと見てみろって」 「ん?これ、アニキじゃん」 「どれだ?・・・あ、本当じゃねぇか。 何でネズが女子更衣室に・・・」 試合を待つ前のキバナを撮った写真。 彼の後ろで、ネズが女子更衣室に入って行くのが映っていた。 とんでもない所を激写してしまっていた。 「ユウリを探していたんですよ」 「探して入るのかよ!」 こんな時だが思わず突っ込みを入れてしまった。 別の意味で人を呼ばねばならないかもしれないとキバナは引いていた。 「ちゃんとノックはしましたよ」 「いや、入るなよ」 「アニキ、アタシが居るから、そう言うん、余りに気にしないのかな・・・」 「大体、キバナ、お前だって入っているじゃないですか」 「俺は悲鳴を聞いたからだ。 ったく、お前、ユウリが悲鳴、上げているのに、オレサマよりも登場が遅いってどう言う事だよ・・・」 「着替えていたんですよ・・・遅れて、すみません、ユウリ」 「いえ、来て下さっただけでも充分です」 漸く泣き止んで、彼女は微笑んだ。 先程のやり取りを聞いていて、落ち着いたのだろう。 すっかり何時もの笑顔である。 「それにこんな事で負けていたら、いけませんよね」 「その意気だ。 お前は笑っている方が良いぜ」 「えへへ、ありがとうございます」 ユウリも落ち着いた所で、キバナとネズは顔を上げる。 一先ず今日は引く事にしよう。 余り長引くと彼女がまた怖がるかもしれないと思った。 やるとしたら、彼女が居ない所でやるべきだと二人は考えたのであった。 「とりあえず着替えろ。 この後の事はあとで考えようぜ」 「俺達は外で待っていますから。 マリィ、彼女を頼む」 「はぁい」 「うん。 任せて」 二人の返事を聞いて、キバナとネズは外に出た。 いざと言う時の為にすぐ外で待つ事にした二人は顔を見合わせた。 「で、犯人の目星は?」 「さぁな。 それこそ、オレサマも聞きたい位だ。 大方、リーグスタッフじゃねぇかとオレサマは考えている」 頭の後ろで手を組んで、キバナはそう言った。 過激なファンがやったのではないかと推測している様子だった。 「嗚呼、オリーヴのリーグスタッフの一件繋がりの可能性も有ると言う事ですね」 「それもそうか。 オレサマ、てっきりファンがやったのかと思っていたぜ。 まぁ、何にせよ、あいつ等なら、何処にでだって、出入り自由だ。 オレサマ達が試合している間に入って、ちょっとロッカーの鍵を開けて、ぽいって入れちまえば、それで終わりだ。 人形は丁度首が切れ掛けていたし、綿も出ている。 折り曲げる事も潰す事も可能だっただろうよ」 「まるで見てきたように言いますね」 「只の推測だ」 「例えば、リーグスタッフじゃなかったら、どうするんですか?」 ネズが小首を傾げて、そう言った。 その目はあからさまに。 キバナを疑っている様子だった。 その視線を受けて、彼は目を据えた。 ポケモン勝負の時みたいに目が据わっている。 垂れていた目が。 キリッと釣り上がっていた。 「あ?」 「貴方とか・・・写真はその間、撮らなかったら、良いんですから。 犯行は可能ですよ」 「おいおい、オレサマを疑おうって言うのか?生憎だが、オレサマにゃあ、動機がねぇよ。 ちったぁ、その辺りも考えろつーの」 「チャンピオンだから、とか」 「有り得ねぇよ。 それならダンデの時に既にこんな事件が遭った筈だろうが。 無かっただろ?無かったって事はオレサマにそんな動機がねぇって事だ。 分かったか?」 疑われた腹立たしげにキバナはネズにそう言い返した。 当然の反応だ。 今の所、疑われる事は何もしていないのだから。 眉一つ動かしていない。 釣り上がった目も。 変わらないまま。 「貴方、好きでしょう?それで、とか・・・貴方の登場がやけに早い気がするんだよね・・・まるで知っていたように、逸早く駆け付けていると俺は思う・・・違わないですか?」 「偶々だ。 近くに居たもんだからな、それで飛び込んだんだよ。 それと遅れて来た奴に言われたくはねぇよ。 あと俺はユウリの事は好きだが、あくまで妹分として、だ。 何つーの、オレサマにも妹が居たら、あんな感じかなぁと思うだけだ。 お前だって、マリィが居るからその気持ち、分かるだろ。 で、構っている訳だ。 分かったか?ついでに言うが、嫉妬や束縛は格好良くねぇぜ?ネズ」 「話を逸らさないで下さい」 「だーかーら、オレサマには動機がねぇんだって。 分かれよ」 「いえ、有りますよ、例えばユウリに抱き着いて貰える役を獲得していたじゃないですか」 「向こうが抱き着いて来るのをコントロール出来るのなら、逆に聞きたいね。 その顔からは何も読み取れないが、思えば、彼だって。 充分動機が有る事に気付いた。 「ネズ、お前には動機が有るよな?」 「何を言うかと思えば。 今日は彼よりも先に取ってしまった、その役。 彼はその役を目当てにしようとしていたのかもしれないとキバナは考えていた。 「ユウリを慰める役をやりたかった、とか。 お前なら有り得るだろ。 恋人、恋人つっても、あいつは未だにお子様。 甘えて来る事は有っても、それは兄に対して、だ。 オレサマに対する様なもんだ。 それで痺れを切らしたお前が今日の事件を起こした。 そうしたら、甘えて貰えるし、頼って貰えるしな。 どうだ?筋は通っているだろ」 「どうだって、言われてもな・・・筋どころか、穴だらけですよ。 そんな推測。 有り得ない。 俺がユウリを困らせて、何の得になるんだ・・・第一、慰める役?そんなの、お断りですよ。 ユウリが悲しんでいる姿を俺は、見たくない・・・」 「言葉では幾らでも言える」 「お前もな」 言い返して、キバナはネズを見る。 ネズはキバナを見ていた。 疑いの目を向けたままだった。 ちゃんと話した後でも彼だと思っているようだ。 彼以外、有り得ないと思っている様子である。 「俺じゃあない」 「俺でもない」 お互いに睨み合ったが、先にキバナが折れた。 引き際も弁えている彼らしい。 余り此処で言い合いを続けていても、無意味だと気付いたようである。 「・・・やっぱり第三者、か」 「そうですね」 「大体、お前がオレサマの事を疑わなきゃ、あんな言い合いになる事もなかったのによぉ」 「第一発見者を疑うのは当然です」 「オレサマ、第一発見者じゃねぇし!第三発見者だし!割と後発じゃねぇか!」 「自分で突っ込みを入れないで下さい」 「そもそも、俺を疑う理由が分からねぇよ。 ったく・・・お、出て来たか」 二人が言い合いをしている間に着替えを終えたユウリとマリィが出て来た。 普段着に着替えている彼女の顔色は良くなっていた。 片手にビニール袋に入れた人形を持っている。 証拠品を失う訳にはいかなかった。 でも手に持ちたくないので、ビニール袋に入れているのだろう。 「待たせちゃって、すみません」 「良いよ、ネズと話していたし。 なぁ?」 「そうですね・・・余り楽しい話では有りませんでしたが」 「オレサマのトーク術に文句が有るのか?あ?」 「ふふ」 ネズとキバナの言い合いを聞いていて、ユウリは笑った。 何とも微笑ましい言い合いである。 彼女は先程の言い合いなんて知らないのだった。 「で、だ。 今日は誰かと一緒に居た方が良いぜ、ユウリ」 「あ、それなら、アタシ、一緒に居るばい!ユウリ、良いんね?」 「うん」 「なら、俺も一緒に居ますよ。 ユウリとマリィだけでは心配ですから」 「ネズが一緒なら、安心だな。 只、何か遭ったら言えよ。 犯人の証拠とか見付けたら、絶対に言え。 潰すから」 「何を!?」 「悪い男ですね・・・ユウリ、マリィ、あんな大人になってはいけませんよ」 「るっせ。 お前だって、同じ事、するだろうが」 「さて、どうでしょうね・・・」 くすくすと笑いながら、ネズはマリィとユウリを連れて行く。 彼女達の事は彼に任せておけば良いだろう。 それならば、自分がやる事もないので、一先ず着替えて、自分の根城であるナックルシティに帰る事にしたのだった。 結局、犯人は分からないまま、有耶無耶になってしまっていた。 男は薄暗い部屋の中、ざく・・・ざく・・・と人形を刃物で刺していた。 刺している先は現チャンピオンのユウリを模した人形だった。 男は祈るように両手で刃物を手に持っている。 振り下ろす手は一定のペースで、変わらない。 人形の首や胸を只管に刺している。 時折、布や糸に引っ掛かり、それを無理矢理力付くで取る為に布地部分を掠めている。 どうして。 男はぶつぶつとそう言いながら、男は刃物で人形を刺している。 誰に尋ねているのだろうか。 人形なのか。 それとも人形が模している彼女に、だろうか。 それとも別の誰、かだろうか。 果たして誰に尋ねているのかは不明のまま。 誰に何を尋ねているのかも分からないまま。 だが、振り下ろす手は止まらない。 薄暗い部屋の中、男の問いと布を斬り裂く音が響いていた。

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