メニエール 診断。 メニエール病(Meniere病)

メニエール病について

メニエール 診断

30~50歳代で発症することが多く、発症すると耳が詰まったような違和感や軽度の聴力低下が引き起こされます。 そして、体の平衡感覚に異常が起きて回るようなが生じ、耳鳴りやさらなる聴力の低下が起こるようになるとされています。 このような症状は通常片方の耳にのみ生じますが、もう片方の耳に発症することも多く、一度症状が治まっても再発を繰り返していく過程で聴力が徐々に低下することが特徴です。 基本的な治療は薬物療法ですが、メニエール病は治療が難しいことも少なくありません。 また、メニエール病はストレスや疲れがたまったときに再発しやすいため、生活習慣を改善し再発を予防していく必要があります。 検査・診断 メニエール病のように吐き気や聴力低下などを伴うを引き起こす病気は多々あります。 そのため、メニエール病の診断を下すにはメニエール病に特徴的な検査のほかにもそれらの病気を除外するための検査が必要になります。 具体的には次のような検査が行われます。 聴力検査 音の聞こえを調べる検査です。 メニエール病は低い音が聞こえにくくなることが特徴であり、聴力低下の仕方を調べることで診断の手がかりとすることができます。 また、再発を繰り返す場合には聴力の状態を調べるため定期的な検査が必要になることも少なくありません。 眼振検査 特殊な検査用眼鏡を装着して眼振(目の揺れ)の有無を調べる検査です。 メニエール病のめまい発作が生じているときは、眼振が見られます。 グリセロールテスト リンパ液の排出を促すとされるグリセロールと呼ばれる利尿剤を服用し、服用前と服用後の聴力の違いを調べる検査です。 メニエール病では、利尿剤によって発症原因とされる内リンパ水腫が改善されると聴力改善が見られます。 画像検査 メニエール病のような症状はなど頭蓋内の病気によって引き起こされることもあるため、それらの病気との鑑別を行うためにも頭部CTや頭部MRIなどの画像検査を行うのが一般的です。 また最近は、高解像度のMRIを使用することで、内耳の内リンパ水腫を直接検出することも可能となっています。 治療 メニエール病は大きく分けて次の三つの治療が重症度や患者の希望などによって行われます。 薬物療法 メニエール病に対する薬物療法では、発作を抑える薬と内リンパ水腫自体を改善する薬が使用されます。 めまいを抑える薬として炭酸水素ナトリウムなどをはじめとした抗めまい薬が代表的ですが、そのほかにも吐き気止め、自律神経調節薬などめまいに伴う症状を改善するための薬が用いられます。 一方、内リンパ水腫を改善するためには利尿剤やステロイド薬が有効とされています。 鼓室内注入術 鼓膜に穴をあけ、鼓膜の内部に薬剤を直接注入する治療法です。 メニエール病ではゲンタマイシンなどの抗菌薬の一種が用いられています。 手術 薬物療法や鼓室内注入術を行っても症状が改善せず進行していく場合には、手術を行うことも少なくありません。 メニエール病はストレスや疲れが発症や再発の引き金になることがあります。 そのため、メニエール病を予防するには、ストレスを解消する方法を見つけて十分な休養を取るなど、日頃からストレスや疲れがたまりにくい生活を送ることが大切です。

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メニエール病

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メニエール病について 京都大学医学部耳鼻咽喉科講師 めまい外来(神経耳科)担当 (当時) 内藤 泰• メニエール病とは 典型的なメニエール病は (1)回転性めまい (2)難聴 (3)耳鳴り が 連動して起こるもので、一回のめまい発作が約30分から6時間程度続きます。 30歳から50歳に多く、子供では稀です。 めまい発作は不定期に繰り返し、往 々にして精神的ストレスや過労時が発作の誘因となります。 難聴は内耳性で特に低音部に障害があり、めまいに連動して変動します。 時に上記のような症状がそ ろわず、例えば「低音部の難聴と耳鳴りの変動があるがめまいがない」という様な場合もありますが、経過をみると多くが数年で典型的なメニエール病の病像を 現すようになります。 メニエール病には病因などに不明の点も多いのですが、実際の患者さんの臨床症状からは確固とした疾患単位と認識できるものです。 メニエール病に厳密な診断基準は不要か めまいは非常に多くの疾患の症状として現れるため、メニエール病にも当然の事ながら明確な診断基準が必要です。 例えば、内耳と第8脳神経の異常によるめま いで代表的なものだけでもメニエール病以外に良性発作性頭位めまい症、突発性難聴、ストレプトマイシンによる前庭障害、前庭水管拡大症、外リンパ漏、前庭 神経炎、聴神経腫瘍、神経血管圧迫症候群などが挙げられますが、これらは全く異なる病因によって起こるもので臨床症状、検査所見、治療法はそれぞれ異なり ます。 さらに、脳幹や小脳の疾患も考慮すれば、各疾患の正確な診断基準がなければめまいに対処できない事は明らかです。 従ってメニエール病の病因が明らか でないからといって「めまい」なら「メニエール」と短絡するのは、メニエール病の治療という観点だけからでなく他の疾患の誤診の可能性が高くなるという点 からも危険であると考えます。 メニエール病の病因 何が原因でメニエール病になるのかは未だ結論が出ていません。 ただ、メニエール病患者の内耳では内リンパ腔という部分の拡大(内リンパ水腫)が見られ、 これによってその症状が引き起こされるという点については殆ど異論はありません。 しかし、なぜ内リンパ水腫がおこるのかは不明で、内耳の前庭水管の発達異 常、内耳の後半規管後部の乳突蜂巣発育不全、アレルギーの関与、内耳組織への自己免疫、ヘルペスなどのウイルス感染、内耳の血流不全など様々な可能性が挙 げられています。 また、これらのどれか一つだけではなく異なる病因が同一の症状を引き起こす可能性もあります。 メニエール病の治療 メニエール病の病因が不明である以上、残念ながらメニエール病の根本的治療法を確定する事はできません。 しかし、結果として内リンパ水腫があるのはまず 確かであり、多くの場合内リンパ圧を下げる利尿剤(薬品名:イソバイド)が有効です。 また、血流改善剤やステロイド剤が奏功する場合もあります。 めまいが 起こっているときには異常な前庭反射を抑圧するという観点から鎮静剤が有効です。 すでに述べた様に、メニエール病のめまい発作の誘因としてしばしば長期に わたる精神的緊張の持続、過労、睡眠不足がみられます。 従って、このようなライフスタイルの改善、精神的にも肉体的にも余裕のある生活を心がけるのも大切 です。 以上の様な治療にもかかわらずめまい発作がコントロールできない場合には手術治療を行っています。 これには (1)内リンパ嚢解放術 (2)前庭神経切断術 (3)迷路破壊術 などがあります。 (1)の内リンパ嚢解放術は内リンパの直接的減圧を目指すものですが長期的に見るとめまい発作の再発が少なくなく、有効率は70から80% 程度です。 (2)と(3)の手術は、事前の診断が正確であれば極めて有効率が高く95%以上の例でめまいが完全に止まります。 もっとも、(3)の手術では 聴力が温存できないため、我々は(2)の前庭神経切断術を主に行っており、非常に良い結果を得ています。 メニエール病の治療効果評価の問題点 殆どのメニエール病の回転めまい発作は約30分から6時間で止まり、また発作間隔も一定していないため70から80%程度の有効率の治療法の場合には、 これが本当に無治療より効果があるのかは疑問の余地があります。 したがって、ある治療法が有効かどうかを判定するのには最終的には無作為選択による二重盲 検調査が必要で、たとえば内リンパ嚢解放術は内リンパ嚢を解放しない手術と差がなく無効であるとの報告もあります。 しかし現実の臨床ではこのような無治療 群が生じる調査の実施は容易ではなく、結果として有効性の明確でない治療法が存続する余地を残しています。 この様な問題を克服する手段として、日本やアメリカのめまいの学会では一定の治療効果判定基準を作って、メニエール病の治療がどの程度有効かを共通の土 俵で比較できるように工夫しています。 これは治療前後の一定期間(通常、半年から2年)のめまい発作の回数を比較するという単純なものですが、メニエール 病の様に発作が必ずしも規則的でないことを充分考慮したもので、後述の抗ウイルス剤の効果なども他の治療法との比較という観点から、まずこのような基準に 基づいた効果判定の報告が必要と考えます。 メニエール病のヘルペスウイルス感染症説の意義と問題点 メニエール病はめまいと難聴を繰り返す疾患でしかも過労時に起こりやすいなど、臨床的には単純ヘルペスウイルス感染症の発症パターンに似ており、最近、 札幌市しちのへ内科の七戸満雄医師はメニエール病を単純ヘルペス感染症として抗ウイルス剤のアシクロビル投与を行っておられます。 例えば内耳のなかの抗ウ イルス抗体のうちヘルペスウイルスに対するものが特異的に高かったとする報告もあり、メニエール病の病因をヘルペスウイルス感染症に求める考えには幾つか の有力な根拠があります。 また、メニエール病の病因を探求する事が根本的に重要であるという点において七戸医師の考えは理解でき、氏の熱意には敬服しま す。 しかし、氏がインターネットのに は幾つかの問題があります。 この様な媒体は患者さんの自由なアクセスを前提としているもので、また実際にこのホームページを見て抗ウイルス治療を希望する 患者さんが私共の外来にもみえています。 氏の考えの全てがが医学的に妥当なものと理解される事は問題と考え、めまい診療を担当する者として敢えてここで指 摘したいと思います。 (1)メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎は別の疾患です 氏はめまい疾患の診断が難しいという指摘とともに、上記の3疾患をすべて単純ヘルペス感染症と考え、一括してアシクロビルの服用を勧めておられます。 ま た、良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎を「メニエール病予備群」とされています。 しかし、上記の3疾患では、難聴の有無、発作の持続時間、めまい発作時 の眼振(目の揺れ)の性状が全く異なり、またそれぞれに内耳の病理組織学的観察の報告でメニエール病とは全く異なる部位に異常が認められており別の疾患で す。 「疲れた時にめまいを繰り返す」という症状だけを根拠にこれらを同一の疾患とするのは誤りです。 また氏はメニエール病の厳密な診断基準が必要か疑問であるとも述べておられますが、すでに述べた通り明確な診断基準を用いるのは医療の基本です。 例えば 我々は小さな小脳梗塞や小脳腫瘍の初期症状がめまいだけで、他の神経症状がない患者さんもしばしば経験します。 これらの病気をしっかり区別して適切な治療 を行うためには、診断基準に照らして目の動きや神経症状、聴力などを正確に検査、診察する事がとても大切なのは容易にお解り頂けると思います。 氏は厚生省 研究班のメニエール病の診断基準を厳密過ぎるかに述べておられますが後の資料に示します様にその本質は単純明解です。 あいまいな診断の危険性を繰返し指摘 しておきたいと思います。 (2)ウイルス感染説でメニエール病のめまいを説明するのは容易でない メニエール病の眼振(目の揺れ)は急性期には病気の耳の方に向かい、しばらくしてこれが逆転し、通常数時間でとまりますが、この現象は内リンパの膜の断 裂とそれに伴う内耳の電解質の変化で説明される事も多く、生理学的にも理にかなった仮説で、しかもメニエール病の病理組織所見からも支持されます。 この様 なメニエール病の特徴的な眼振の変化をウイルス性の神経炎で説明するのは容易でありません。 むしろ、前庭神経炎のように病気でない側に向かう眼振が数週 間、徐々に減衰しながら続くものこそがウイルス性の神経炎にふさわしい所見と考えます。 もし神経炎ではなくウイルス性の内耳炎が起こるとすると内耳の有毛 細胞の損傷が起こり不可逆的変性が起こると推測されます。 (3)ウイルス感染説でメニエール病の難聴を説明するのは困難 メニエール病では低音部の変動する難聴が特徴的ですが、これも蝸牛神経のウイルス感染では説明困難です。 ウイルス感染が低音を担当する神経だけに起こる理由は考えにくく、また利尿剤で数時間で聴力が改善する機序も神経炎では説明が難しいと考えます。 (4)良性発作性頭位めまい症のめまいもウイルス感染説に合わない 氏が「メニエール予備軍」としてウイルス感染とされている良性発作性頭位めまい症は殆どの場合が三半規管のうちの後ろの半規管の中のおそらく耳石と考え られる浮遊顆粒でおこる事が明らかにされ、実際に手術で、この顆粒の存在が証明されています。 良性発作性頭位めまい症で見られる頭位によって数秒で方向が 逆転する回旋性の眼振を引き起こすためには前庭の一次神経の興奮性の発火が頭位の変化により数秒で抑制されるあるいはこの逆の反応が起こる必要があります が、これを末梢の神経炎で説明する事は不可能と考えます。 (5)抗ウイルス剤が奏功する作用機序が不明 メニエール病にウイルス感染が関与する場合、最も可能性が高いのはウイルス感染によって内リンパ嚢に炎症と線維化が起り、内リンパの吸収が阻害され、こ れが内リンパ水腫を引き起こして難聴とめまいの原因となるという機序で、この場合なら内耳のリンパ内のヘルペス抗体価が高いという報告やめまい時の眼振な ども説明できると思います。 しかし、これはウイルスによる神経炎という機序ではありません。 また、内リンパ嚢に線維化が起こってしまってから抗ウイルス療 法をして効果があるかは疑問です。 抗ウイルス剤を使用するなら、それがどの様な機序で効くかが説明出来なければならないと考えます。 以上、メニエール病の診断と治療、ウイルス感染説に対する私の考えをのべましたが、これはあくまで一般の方々により良くメニエール病の理解をして いただくためであり、特定の考えをことさらに否定するのが意図ではありません。 メニエール病の病因にウイルス感染が関与する可能性も大いにあると考えま す。 しかし、現在の診断基準や治療法は極めて多数の患者さんの症状、検査所見、治療結果そして基礎研究の集大成であり、これを踏まえた上で議論をする必要 があると考えます。 インターネット上のこのコラムがめまい患者さんの参考になり、またメニエール病の臨床と研究に携わる医師の方々からの自由なご意見が伺えれば幸甚です。 (資料) メニエール病診断の手引き(厚生省研究班、1974年)• 回転性めまい発作を反復すること• めまいは一般に特別の誘因なく発来し、嘔き気、嘔吐を伴い、数分ないし数時間持続する。 発作のなかには、「回転性」めまいでない場合もある。 発作中は水平、回旋混合性の自発眼振をみることが多い。 反復性の確認されぬ初回発作では、めまいを伴う突発性難聴と充分鑑別されなければならない。 耳鳴、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること• 耳鳴、難聴の両方またはいずれかの変動に伴いめまい発作をきたすことが多い。 耳閉塞感や強い音に対する過敏性を訴える例も多い。 聴力検査では、著明な中・低音部閾値変動や音の大きさの補充現象を呈することが多い。 一耳罹患を原則とするが両耳の場合もみられる。 1、2の症状をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知のめまい、難聴を主訴とする疾患が除外できる。 これらの疾患を除外するためには、問診、一般神経学的検査、平衡機能検査、聴力検査などを含む専門的な臨床検査を行い、時には経過観察が必要な場合もある。

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メニエール病の検査や診断の方法を解説。放っておいた場合のリスクは?

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このページは日本めまい平衡医学会が作成した「メニエール病の重症度分類について」を全文掲載しております。 但し、英文抄録および著者の所属は省略しております。 引用資料 Equilibrium Res Vol. 58 1 :61〜64,1999 メニエール病の重症度分類について 八木 聰明、伊藤 壽一、久保 武 高橋 正紘、高橋 光明、古屋 信彦、山下 敏夫 渡辺 行雄、工田 昌矢、室伏 利久、富山 俊一 (厚生省特定疾患前庭機能異常調査研究分科会) はじめに 厚生省特定疾患前庭機能異常調査研究分科会は、平成8年に改変され平成10年にまとめの年度を迎えた。 以前は前庭機能異常調査研究班と称していたが、平成8年の改変時には聴覚・平衡機能系疾患調査研究班として統合され、その分科会として前庭機能異常と急性高度難聴の2つの調査研究分科会が組織されることになった。 平成8年度〜10年度の前庭機能異常調査研究分科会では、メニエール病と遅発性内リンパ水腫を研究テーマとしており、分子生物学的、免疫組織化学的、生理学的手法等を用いつつその病態の解明に向けて研究を進めてきた。 また同時に、その診断や治療法についても検討を行ってきたが、厚生省から特定疾患の重症度基準の作成を依頼され、その作業も行った。 メニエール病の重症度基準に関しては現在まで指針がない。 そこで、本分科会で検討し厚生省に提出したものを本誌上に掲載し、多くの耳鼻咽喉科専門医に実際に利用してもらうことにした。 本重症度分類は初めて作成したものであり、今後多くの修正を加えていく必要があることも十分承知している。 重症度基準作成に関する厚生省からの依頼について 特定疾患調査研究は、厚生省保健医療局エイズ疾病対策課がその担当である。 重症度基準に関しては特定疾患対策懇談会の意見により、次の諸点につき特に配慮して作成してもらいたいとの依頼であった。 その諸点とは、 1.重症度基準は、治療の判定や医療費公費負担対象の選定に、臨床的に使用可能な医学基準であること。 (あまりにも特殊な検査を要する基準や、要介護度のみに着目した基準は不適切) 2.本事業の基本性格は、稀少難治性疾患の治療研究事業であることを配慮すること。 (活動期の症例の収集を計画した際に、本基準に基づいて選択が可能になるように、病気の活動度や研究の必要性の観点を盛り込むことは適切) 3.基準の策定にあたっては、班として集積された症例から得られるエビデンスに基づいたものであること。 (疫学的にある一定以上の検査値だと死亡率が高いので、これを用いて分類するなど、具体的資料をできるだけ活用することが望ましい) というものである。 これらの諸点を考慮に入れつつ、本分科会では高橋(正)および渡辺両分担研究者を中心に検討を進め、分科会長である八木が他の分科会員の意見を聞きつつまとめたものが次にあげるメニエール病の重症度分類である。 以下には、厚生省に提出したものをそのまま示した。 メニエール病の重症度分類 前庭機能異常調査研究分科会では、メニエール病を病態の進行度、すなわち病態が可逆性であるか不可逆性で進行性になっているかを主体にし、それに症状による苦痛度(主観的評価)と日常活動の制限(社会的適応、平衡障害の評価)を加えて重症度の変化を分類することにした。 なお、両側メニエール病例については、左右別々に重症度を評価し、分類するものとする。 また、近い将来には、重症度をより総合的、客観的に判定するために、難聴および平衡障害のスケールを作成し、それらを加味したものに改訂する予定である。 なお、本分類は患者が当該施設を訪れ、メニエール病の診断がついた時点で、その重症度分類が可能なようにしたものである。 すなわち、メニエール病発症直後の患者にも、病悩期間の長い患者にも適応できるものであり、必ずしも長期的な観察の結果によって重症度を判定する目的に沿って作成したものではない。 重症度分類の基準となる項目と評価 病態の進行度(聴力検査を加味した評価) 0点:正常 1点:可逆的(低音部に限局した難聴) 2点:不可逆的(高音部の不可逆性難聴) 3点:高度進行(中等度以上の不可逆性難聴) 自覚的苦痛度(主観的評価:めまい、耳閉感、耳鳴、難聴) 0点:正常 1点:自覚症状が時に苦痛 2点:自覚症状がしばしば苦痛 3点:自覚症状が常に苦痛 日常活動の制限(社会的適応、平衡障害) 0点:正常 1点:日常活動が時に制限される (可逆性の平衡障害) 2点:日常活動がしばしば制限される (不可逆性の軽度平衡障害) 3点:日常活動が常に制限される (不可逆性の高度平衡障害) 総合的重症度 stage 1:準正常 無症状で正常と区別できない 病態:0点、自覚的苦痛度:0点、日常活動の制限:0点 stage 2:可逆期 病態は可逆的である 病態:1点、自覚的苦痛度:0〜1点、日常活動の制限を問わない stage 3:不可逆期 病態は不可逆的であるが進行していない 病態:2点、自覚的苦痛度:1〜2点、日常活動の制限0〜1点 stage 4:進行期 不可逆病変は進行し、自覚症状の苦痛や日常活動の制限がある 病態:3点、自覚的苦痛度:2〜3点、日常活動の制限:2〜3点 stage 5:後遺症期 不可逆病変は高度に進行し、後遺症がある 病態:3点、自覚的苦痛度:3点、日常活動の制限を問わない 重症度分類の治療への応用 stage 1:生活指導のみで与薬を必要としない時期 stage 2:生活指導と与薬を必要とする、完治可能な最も重要な時期 stage 3:初期治療が不成功に終わり、不可逆病変を伴う対症療法の時期 stage 4:進行し、保存的治療に抵抗し外科的治療が考慮される時期 stage 5:高度に進行し、病態は活動性ではないが後遺症が明らかな時期 考 察 メニエール病の診断基準については、厚生省特定疾患メニエール病調査研究班の報告 1 や、日本平衡神経科学会の基準案 2 がある。 また、メニエール病に対する診断および治療効果の判定基準に関しては、Committee on Hearing and Equilibrium of the American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery によって1972年 3 と1985年 4 に提唱されたもの、およびそのコンピュータソフト対応版 5 が国際的には代表的なものである。 一方、本邦では、日本平衡神経科学会のめまいに対する治療効果判定基準化委員会の答申として、めまいに対する治療効果判定の基準が報告されている 6。 これらの診断基準や治療効果判定基準については、多少の問題点が指摘されているものの 7,8 、多くの神経耳科医によって検証され、その目的を達しているものと思われる。 しかし一方で、メニエール病患者が来院してその診断がついた時点で本疾患が当該患者にとってどの程度重大であるか、つまりその重症度について検討したものはない。 むろん、前述のいくつかの基準の一部を利用することによって、ある程度重症度を推測することは可能ではある。 本分類は、先にも述べたように患者が医療施設を訪れ、メニエール病の診断がついた時点で、その重症度分類が可能なようにしたものである。 従って、必ずしも長期的な観察の結果によって重症度を判定する目的に沿って作成したものではないことを考慮にいれて使用してもらいたい。 この分類では、めまいや聴力について大まかな評価しかしていない。 この大まかさが長所にもなるし、当然客観性が少なくなる分短所にもなる。 この分類をより良いものにするためには、実際に多くのメニエール病患者に使用してみた結果のフィードバックが不可欠である。 おわりに 厚生省特定疾患前庭機能異常調査研究分科会(平成8年度〜10年度)では、その病態の進行度を主体にし、それに症状による苦痛度(主観的評価)と日常活動の制限(社会的適応、平衡障害の評価)を加えてメニエール病の重症度分類を作成した。 今後、多くの臨床例でこの分類を用いて、より適切なメニエール病の重症度分類に仕上げたい。 文 献 1 渡辺 いさむ:厚生省研究班メニエール病診断基準について. 耳鼻臨床 69:301-303,1976 2 小松崎篤(委員長):めまい診断基準化のための資料. 1987年めまいの診断基準化委員会答申書. Equilibrium Res 47: 247-248,1988 3 Committee on Hearing and Equilibrium Alford BR, Chairman. Report of subcommittee on equilibrium and its measurement. Meniere's Disease: Criteria for diagnosis and evaluation of therapy for reporting. Trans Am Acad Ophthalmol Otolaryngol 76: 1462-1464,1972 4 Peason BW, Brackmann DE: Committee on Hearing and Equilibrium guidelines for reporting treatment results in Meniere's disease. Otolaryngol Head Neck Surg 93: 579-581,1985 5 Committee on Hearing and Equilibrium : Committee on Hearing and Equilibrium guidelines for reporting treatment results in Meniere's Disease.

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