数字 で 救う 弱小 国家。 数字で救う! 弱小国家 (電撃文庫)

数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。 長田 信織:ライトノベル

数字 で 救う 弱小 国家

目次 1.... 「数字で救う!弱小国家」とは 2017年8月に第1巻が発売され、2019年1月時点で3巻まえ刊行されている。 電撃文庫から出版されていて、重版も何度かされている人気作。 大手小説投稿サイトの「カクヨム」でも連載されているようです。 著者:長田 信織 先生 イラスト:紅緒 先生 長田先生は電撃文庫から過去に「東京ドラゴンストライク」や「ガンズ・アンド・マジック」などを出版されています。 紅緒先生は過去に10作品以上のライトノベルの挿絵などを描いている先生で、過去の作品には以下のようなものがある。 「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました (GAノベル)」 「友人キャラは大変ですか?(ガガガ文庫)」 「10年ごじの引きニートを辞めて外出したら (オーバーラップ文庫)」 また、コミカライズ化の企画も進行しているようで、「月間コミックアライブ」という雑誌に掲載される可能性が高いとのことです。 『数字で救う!弱小国家3 幸せになれる確率を求めよ。 ただしあなたの過去は変わらないものとする。 』 最新刊は10月10日発売です。 今回も数字の話であり、人間の話であり、そして幸せの話であります。 イラスト担当の紅緒さんにも「面白かった」と太鼓判をいただいたので自信をもってお送りします! — 長田信織📖最新3巻発売済み nagatanobuori 2.... 1分で分かる簡単なあらすじ 小国である「ファヴェール」の王女ソアラは近隣諸国との戦争がいつ始まってもおかしくない状況下で、戦力的にも弱い自分の国をどうやったら守ることができるのか頭を悩ましていた。 王である父は病で床に伏し、兵士たちも自らの武勲を上げるための鍛錬をするのみで、戦力を覆せるような具体的な戦略は何もあがってこない。 そんな状況に絶望を感じ始めていたソアラの前に突如現れたのが、この物語の主人公:ナオキ。 ナオキは地球から転生してきた元日本人で、年齢は若いながらも数学者として研究をしていた。 ナオキは得意分野である数学は、この異世界でも十分に役に立ち、ソアラとともに、国の存亡の危機に立ち向かうことに。。 彼の「数字」の理論や計算で国を救うことができるのか?? 3.... 読んだ方の感想 1... 感想 異世界転生ものではありますが、「転スラ」などとは違い、主人公の能力がメチャクチャなチートってわけではないです。 現代の数学者が数学を使って、貧弱国家を救っていくというのがメインのあらすじですが、内容としては数学がわからないと理解できないようにはなってません。 難しめな理論が使われている場面では説明図が載っているので、そちらを見れば理解できます。 もちろん、数学を題材にしているため、スラスラ読むタイプのラノベではなく、戦略などを1つ1つ理解しながら読むと面白く読める作品です。 感想 タイトル的にファンタジー系な予感がしましたが、ファンタジー要素は全くない作品でした。 モンスターも魔法もなく、単純に戦略重視の戦いがメインに描かれています。 第1巻の後書きに書いてありましたが、この作品の作者は数学に特別詳しいわけではないとのことなので、数学に精通している人のみが楽しめる作品というわけではないと思います。 僕自身も数学に詳しいというわけではなく、高校で少し習った知識のうろ覚え程度でしたが、十分に楽しめました。 むしろ、知らないほうが楽しめるまであります。 詳しすぎる人がみると浅すぎるみたいな意見が散見されたので(笑) あと、ヒロインのソアラがただただ可愛いので、個人的には映像化してほしい(笑) アニメ化は厳しいかもしれんけど 3... 感想 数学をテーマにしているという点は目新しさがあって、方向性は面白いと思った。 ただ、1つ意見をいうと、文章が若干わかりにくいと感じる部分があって、もう少し洗練された文章構成であったなら読みやすくてよかったと思う。 続編がでるなら、その辺が改善されていることを期待したいです。 通常よりも安い値段でこの作品を読む方法 この章では少しだけ安くライトノベルを読む方法があったでの紹介したいと思います。 方法としては、ebookjapnという電子書籍サイトを通じてライトノベルを購入する方法です。 なぜ、ebookjapnで購入すると安く購入できるのか? キャンペーンその1: 無料で会員登録するだけで、サイト内で利用できるポイントが300pt贈与される。 最大5000円分まで キャンペーンその3: 期間限定で第1巻が無料で読めたりすることがある。 上記のようなキャンペーンがあるので、単純計算で少なくとも2巻買うと1巻無料で付いてくるみたいな感じになるので、電子バージョンで読むことに抵抗がない方はKindleなどよりこちらを通して購入することをおすすめします。 ブラウザからだけでなく、アプリからも読むことができるので、使用用途に合わせて利用することができます。 Wi-Fiのない環境で利用する際は、あらかじめアプリで読みたい本をダウンロードしておき、Wi-Fi環境下ならダウンロードなくブラウザで気軽に見ることができるのもかなりの利点だと思います。 全体的なまとめ 今回は「数字で救う!弱小国家」というラノベについてまとめてみました。 数学をテーマにした斬新な作品ですが、雰囲気的に「ノーゲーム・ノーライフ」に結構似ていると思います。 頭を使ってじっくり読むようなラノベが好きな人は楽しく読めるのではないでしょうか? また、階上とは数列とかでてくるので、数学に興味のない人は数学に興味を持てるようになるいい作品かもしれないです(笑).

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数字で救う! 弱小国家

数字 で 救う 弱小 国家

「アルマ地方では 姫 ( ひめ )様の言うとおり、 砦 ( とりで )の周囲に 空 ( から ) 堀 ( ほり )と 柵 ( さく )を増やしております」 「各村には食料や財産を運び出すように呼びかけ、 市 ( し ) 壁 ( へき )を通過する際に関税が 免 ( めん ) 除 ( じよ )されることを布告しました」 「農園主たちはすでにほとんどが市街の中へ 食 ( しよく ) 糧 ( りよう )などを移しておるようですな」 評議会との会議は、以前よりだいぶ人数を少なくしていました。 こうなると会議とは名ばかりで、数人から報告を受け取るだけです。 方針が決定し実行段階に移ったため、評議会のほとんどが前線で指揮を 執 ( と )っているからです。 残っているのは後方でも役割があり、前線とのつなぎ役となるかたがたです。 彼 ( かれ )らからの報告に耳を 傾 ( かたむ )けますが、大きな問題は無いようでした。 「順調なようですね」 「そのようですな。 ああそうそう、 徴 ( ちよう ) 募 ( ぼ )兵のことですが、これは予定より数が 揃 ( そろ )いそうです。 思ったより 民 ( たみ )が協力的でした。 持たせる 槍 ( やり )のほうが足りないほどでありまして」 嬉 ( うれ )しい 報 ( しら )せでした。 長期戦という方針とはいえ、やはり兵力差は少しでも縮めておきたいことでしたから。 「それは喜ばしいことですね。 兵力は多いほうがいいですから、引き続きお願いします。 槍 ( やり )が無ければ 堀 ( ほり )や策を設置する戦力にできますし、できる限りかき集めてください」 「わかりました。 その 突 ( とつ ) 然 ( ぜん )の乱入者は、見知ったかたです。 「 姫 ( ひめ )様、少しよろしいですかな?」 「これはウィスカー 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )。 お姿が見えないので不思議だと思っていました。 どうかなさいましたか?」 額に 浮 ( う )いたしわを深くしながら、ウィスカー 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )は言いました。 「国王陛下がお呼びです。 おいでくだされ」 もとより今日は会議が終わってから父上にお会いする予定でした。 それをこうしてわざわざ呼び出すというのは、 「いますぐですか? 急ぎの用ができた、ということでしょうか?」 「そのとおりですな」 「わかりました。 すぐに参ります。 皆 ( みな )さん、報告書はまとめて送っておいてください」 会議室をあとにして、わたしはウィスカー 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )に先導されて 廊 ( ろう ) 下 ( か )を歩きます。 そこは、たしか、 「ナオキさんが使っているところですね」 「使いかたが問題なのです! デュケナン 殿 ( どの )が教えてくださった。 やつは、とんでもないことをしております!」 憤 ( いきどお )りながら 大 ( おお ) 股 ( また )に進む 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )の歩みは速く、わたしは小走りにならないとついていくのもひと苦労でした。 額に少し 汗 ( あせ )がにじむほど歩いて、ようやくウィスカー 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )が立ち止まりました。 中庭を四角く囲む王宮の 回 ( かい ) 廊 ( ろう )の一角です。 そこに、父上の姿がありました。 父上は 椅 ( い ) 子 ( す )に 座 ( すわ )り 込 ( こ )んで、中庭を見下ろしています。 回 ( かい ) 廊 ( ろう )に囲まれた中庭広場は上階から、その様子が一望できるのです。 「父上。 このような所で、どうされたのですか?」 「……お主には、あれが見えんのか?」 「 あ れとは ど れのことでしょう。 わたしにはたくさんの商人が見えていますが、特に変わったものは見えません」 ほんとうにたくさんの商人が、中庭に集まっていました。 見るからに 華 ( か ) 美 ( び )な身なりの 大 ( だい ) 商 ( しよう ) 人 ( にん )から、 中 ( ちゆう ) 堅 ( けん )の商館主の集団、あるいは外地商館に居を構える異国の商会員に、 隠 ( いん ) 者 ( じや )のようにひっそりと 佇 ( たたず )むよくわからないかたまで。 そんな商人たちとは少し 離 ( はな )れたところで、 彼 ( かれ )らの様子を見守るナオキさんの姿がありました。 いまは商人に資料を配る使用人たちと、なにか話されています。 「あの 魔 ( ま ) 術 ( じゆつ )士は、なぜこんなにも商人を集めたのだ」 「補給品の買い付けをするためです」 「こんなにもたくさんの商人と 交 ( こう ) 渉 ( しよう )など、できるわけもなかろう。 そんな時間も人手も足りておらぬわ。 だいいちこうも一度に集めて、まともな商談ができるはずもない。 ……やはりあの 魔 ( ま ) 術 ( じゆつ ) 士 ( し )は、口先だけの 詐 ( さ ) 欺 ( ぎ )師に他ならぬわ」 ナオキさんの心証は思いのほか最悪なようでした。 ナオキさんは少し 威 ( い ) 厳 ( げん )に欠けていて、 生 ( き ) 真 ( ま ) 面 ( じ ) 目 ( め )さには 縁 ( えん ) 遠 ( どお )いところがあります。 父上の好むような人物像とは、まるで正反対でした。 「……父上、ナオキさんを 侮 ( ぶ ) 辱 ( じよく )するように言うのはおやめください。 これはわたしがすべて 了 ( りよう ) 承 ( しよう )済みで、この庭を貸し 与 ( あた )えて行っていることです」 「やつがなにをするつもりで、雑多な商人を集めることも承知していたというのか、お前は。 なぜ止めなかった!? あそこにいるやつを見ろ、ネーデルラント人だ。 オルデンボーとの付き合いは 我 ( わ )が 国 ( くに )より深い。 あちらのエイルンラント人もだ。 これでは、敵国になにもかもを知らせているも同然ではないか!」 「わかっています。 下を見てみると、商人たちの注目が一方向に集まっています。 その先には、前もって用意しておいた台の上に立つナオキさんがいます。 「あ、どうやら始まるみたいです。 王室 輜 ( し ) 重 ( ちよう )隊の取引準備説明会にご参加いただきありがとうございます。 今日の説明を担当させていただきます。 ナオキ・セリザワです」 「ずいぶん若いな」 「若いほうがいいでしょう? 若者を手玉に取って 儲 ( もう )けるのは年長者の特権だ」 小さな 囁 ( ささや )きを 聞 ( き )き 逃 ( のが )さずに答えた 僕 ( ぼく )に、口にした商人は 慌 ( あわ )てもせずににやりとする。 「そんなことはせんよ。 神に 誓 ( ちか )ってもいい」 「なるほど。 若いころの神に 誓 ( ちか )うつもりですね?」 中庭にいる商人たちからいくらか笑いが広がる。 さて、これで 僕 ( ぼく )も相手も少しは 緊 ( きん ) 張 ( ちよう )がほぐれたかな。 「じゃあ本題に入りましょう。 事前にお知らせしたとおり、今日は取引の前段階、価格決定についてのお話です」 プレゼンなんてゼミと学会でやったことしかない。 未経験よりはましというくらいだ。 長引かせたくない。 さっさと説明してしまおう。 「正直に言います。 僕 ( ぼく )ら王室 輜 ( し ) 重 ( ちよう )隊はある程度の相場価格しかわかってない。 たとえば大麦雑穀などの食料。 外国で安く買い付けて 僕 ( ぼく )らに売れば、差額があなたたちの 儲 ( もう )けになる。 だけどここに戦時運送費だとか片荷運送の船だから往復分の 支 ( し ) 払 ( はら )いになるなど、そういう付帯費用がつくと価格が 跳 ( は )ね 上 ( あ )がるらしい。 試 ( ため )しに聞いたら相場の5倍もするって言われた。 誰 ( だれ )に言われたかは 内 ( ない ) 緒 ( しよ )にしておきますが。 これが適正価格なのか、こちらではさっぱり分からない」 そんな前置きには特に反応は無い。 それは予想どおり。 反応が 欲 ( ほ )しいのは、ここからだ。 言 い 値 で 買 い ま す」 その言葉は、全面 降 ( こう ) 伏 ( ふく )に等しい宣言だった。 商人たちにどよめきと 歪 ( ゆが )んだ 笑 ( え )みが広がる。 馬 ( ば ) 鹿 ( か )な勝負に 突 ( つ )っ 込 ( こ )んだカモを、しゃぶり 尽 ( つ )くしてやる。 そういう 笑 ( え )みだ。 いい食いつきだ。 興味をひくことにはまず成功。 「ただし、念 押 ( お )ししておくことがふたつある」 僕 ( ぼく )は続けた。 「まずひとつめ。 注文は第二価格制競争入札という形を取らせてもらいます。 〝競争入札〟というのは、競売のようなものだと思ってください。 今回のを簡単に言えば、他の人の提示価格はわからない状態で、いちばん安い価格を提示したかたに、 二 番 目 に 安 い 提 示 価 格 で取引をします」 商人たちが目を 見 ( み ) 交 ( か )わす。 いまなにか 妙 ( みよう )なことを言われた、という顔で。 「そしてふたつめ。 入札には 誰 ( だれ )でも参加できる。 必要なのは入札保証金だけでいい。 その他の参加資格は、いっさい 考 ( こう ) 慮 ( りよ )しなくて結構。 もちろん保証金は入札が終われば 返 ( へん ) 却 ( きやく )します。 物を用意できる商人で、かつこちらの提示価格以下なら、 誰 ( だれ )とでも取引します。 詳 ( しよう ) 細 ( さい )は配った資料にあるとおりです。 おわかりいただけましたか? 質問があればどうぞ」 それを聞いた商人たちの反応は、さまざまだった。 深く 考 ( かんが )え 込 ( こ )んでいたり、数人で話し合いをしたり、資料を何度も読み返し始めたりと、 忙 ( いそが )しい。 ひとつ確かなのは、無反応な商人はひとりもいないということだった。 「質問をよろしいですかな」 と、手が挙がった。 「どうぞ」 「競売は知っています。 低い価格から初めて、いちばん高い価格で買う者が落札する。 競争入札というのはその逆で、注文に対していちばん低い価格をつけた者が注文を 請 ( う )けることができる。 ここまではわかりました。 では、第二価格にする、というのはどういうことですかな?」 「みんなが得するようにする、というだけです。 いちばん安値をつけた人が、二番目の安値で引き受けることができる。 自分にとって銀貨10枚で引き受けていいという注文が、11枚で請けられるかもしれない。 嬉 ( うれ )しいことですよね」 「それはそうですな」 逆に言うなら、自分の評価額以外の価格をつければ損をする。 嘘 ( うそ )をついても意味が無い。 別のほうから手が挙がった。 では、はっきり答えます。 王室 輜 ( し ) 重 ( ちよう )隊では、あらゆる 国 ( こく ) 籍 ( せき )、あらゆる商会、あらゆる人種、すべて 分 ( わ )け 隔 ( へだ )てなく入札を 受 ( う )け 容 ( い )れる。 たとえばベネルクス商人、たとえばモスコヴィヤ商人、たとえばイシュライ商人。 誰 ( だれ )だってどんな商会だって構わない。 物があれば買う。 シンプルな関係だ」 敵国の商人だったら 契 ( けい ) 約 ( やく )保証金を高めにさせてもらうけど。 それは言わない。 入札へのハードルが低いことが話題だ。 他の条件は資料に書いてある。 いま言ったことも。 ざわめく商人たちに、さらに告げる。 「参加資格だけじゃない。 物や船についても、たとえオルデンボーの港から出発してきた船でも、入港を許可する。 輜 ( し ) 重 ( ちよう )隊に運ばれてくる前にどこで貨物が保管されていたか、という理由で注文を返上することはありません。 必要なのは、物と金が健全に 交 ( こう ) 換 ( かん )されること。 それだけです。 皆 ( みな )さん、奮ってご参加ください。 それと、 輜 ( し ) 重 ( ちよう )隊では人足のほうも 募 ( ぼ ) 集 ( しゆう )しているので、人手が余っていたらそちらのほうもどうぞ 紹 ( しよう ) 介 ( かい )しておいてください。 これも採用基準に 国 ( こく ) 籍 ( せき )は入っていない」 敵国の利益になりそうな商人や輸送ルートを理由に輸入制限をする。 そんなやりかたもすべて否定しておく。 質問というより、ただ単に書類に書かれていることを王室がきちんと理解しているのか、それを確かめたいだけなのだ。 だから、 彼 ( かれ )らに示してやる。 そこに書いてあることを、 僕 ( ぼく )は細大 漏 ( も )らさずわかっているんだ。 そんな態度さえ見せれば、商人たちはいちいち口に出してやらずとも、理解する。 「以上です。 他に質問は? ……なにも無ければ、今日はこれで解散。 後日に入札会場でお会いしましょう。 」 「父上、もちろん 本 気でやっていることです」 かろうじて 座 ( すわ )ったままとはいえ、 回 ( かい ) 廊 ( ろう )の手すりから身を乗り出さんばかりにナオキさんを 睨 ( にら )みつけていた父上が、勢いよくわたしへと向き直ります。 「なんだと……? おぬしは、やつのやることを許したというのか?」 「商人たちに 渡 ( わた )す資料を手配したのはわたしです。 もちろん、原本にわたしの印章もあります。 きちんと目を通しました」 ナオキさんの説明を耳にしてもっとも 衝 ( しよう ) 撃 ( げき )を受けているのは、ひょっとしたら父上なのかもしれません。 痩 ( や )せ 衰 ( おとろ )えているはずの父上ですが、いまばかりは激しく気勢を張り上げました。 もしも敵がいきなり交易路を 塞 ( ふさ )いで我らの物を 奪 ( うば )ったらどうなる? そんなことも考えなかったのか!」 「父上、敵国とは陸続きです。 どうやっても間者を防ぎ切ることはできません。 敵国の様子が商人たちから聞き取りやすくなりますから、その点についてはお 互 ( たが )いさまです。 交易路を 塞 ( ふさ )げば、商人たちの商売を 妨 ( ぼう ) 害 ( がい )したことでオルデンボー自身の経済にとって 打 ( だ ) 撃 ( げき )になるでしょう。 ただの 自 ( じ ) 滅 ( めつ )です」 「 屁 ( へ ) 理 ( り ) 屈 ( くつ )を言うな! 問題はそれだけではないぞ。 イシュライ人までもこの 宮 ( きゆう ) 殿 ( でん )に招いて、しかも王室との取引相手にするとやつはのたまった! あれは高利貸しどもだろう! 麦の手配などできるわけがない!」 それはたしかに不思議なことでした。 商人たちはどんな物でも持っているというわけではありません。 たとえば麦なら麦の生産地となんらかの 繋 ( つな )がりが必要で、その 繋 ( つな )がりが短いほど安く手に入ります。 専門家より安く手に入るなら、その人がすでに専門家になっているのです。 そこまで 広 ( こう ) 範 ( はん )に招待する必要はないのでは、という疑問を 抱 ( いだ )くのは当然のことでした。 しかし、ナオキさんはわざわざ専門外の商人たちまで参加できるようにしました。 商人たちに配るための資料を用意するのも、無料というわけではありません。 きれいな紙とインクを 揃 ( そろ )えて、人数分を作り上げるにはそれなりに手間がかかります。 その手間やお金を使ってでも、やる価値のあることだったのです。 「そうとも限りません。 借金をお金ではなく物で回収することもあります。 たとえば麦商人の中に借金をしている人がいて、それをお金の代わりに差し出すことはあるかもしれません」 「もしもの話であろうが」 「もしもの話でじゅうぶんなのです。 いいえ、しようとしました。 ですが、 「この 馬 ( ば ) 鹿 ( か )者が!! 「ち、父上、それはいったい、どういう意味なのですか……?」 うろたえて聞き返すわたしに、父上は鼻にしわを寄せて指を 突 ( つ )きつけます。 「私がなんと言ったのか覚えておらぬのか? お前は教会を 怒 ( おこ )らせて台無しにした。 そ れ をなんとかしろと言ったはずだ!! 糧 ( りよう ) 秣 ( まつ )が、物資がなんだと言うのだ。 私は教会の、ひいては神の 怒 ( いか )りを問題にしておるのだ! 神の 恩 ( おん ) 寵 ( ちよう )を得るのに、多少の金銭の 多 ( た ) 寡 ( か )を気にするのがおかしい!! 」 突 ( つ )きつけられた指が、まるで 短 ( たん ) 剣 ( けん )のように感じられました。 父上の言っていることの意味がわかりません。 ……いいえ、 わ か り た く あ り ま せ んでした。 「多少、などではありません。 この予算は、補給は、兵や 民 ( たみ )が生き延びる時間にかかわる問題です。 それを解決しろと父上は 仰 ( おつしや )りました。 ですから、こうして、わたしは……」 「たとえどんな問題の解決になろうと、異教徒のイシュライ人などを使っていい理由にはならん! そ ん な も の 当 た り 前 で あ ろ う が!! 」 「……そんな……理由、で……?」 最後まで言いきれませんでした。 父上の目が、それを望んでいないと告げていたからです。 わたしが口を開くほどに、父上の目には 怒 ( いか )りが 募 ( つの )るばかりでした。 父上がこうなれば、 黙 ( だま )っていることが最も 賢 ( かしこ )い 選 ( せん ) 択 ( たく )です。 なにを言っても、余計にこじれていくばかりですから。 しかたのないことなのです。 いつものように、わたしは 剣 ( けん ) 術 ( じゆつ )練習で打たれる 棒 ( ぼう ) 杭 ( ぐい )のように、じっと 立 ( た )ち 尽 ( つ )くしているしかありません。 「時間、金。 おぬしはいつもそうだ。 いや、 魔 ( ま ) 術 ( じゆつ ) 士 ( し )の 小 ( こ ) 僧 ( ぞう )が言ったのか? あんなくだらない 俗 ( ぞく ) 物 ( ぶつ )を信用するなど、なにを考えておるのだ。 やつにそろばんは持てても、軍を率いた経験は無いだろう。 筆でどうやって敵を 倒 ( たお )す? 兵がひ弱な書家についてきてくれると思うのか?」 「…………」 〝くだらない〟〝 俗 ( ぞく ) 物 ( ぶつ )〟 どうしたことでしょうか。 いつものようにいきません。 父上の言葉を耳にするたび、胸にざわついたものがこみ上げてきます。 「戦場での直感や神の 息 ( い ) 吹 ( ぶき )を感じ取った経験を持たない男に、戦いのなにがわかる。 矢の雨の中で死んだ者と死ななかった者の 違 ( ちが )いが、紙の上でわかるものか。 あんな 小 ( こ ) 僧 ( ぞう )は、 戦 ( いくさ )が始まればどこかで小便を 漏 ( も )らして 震 ( ふる )えているだけだ。 死を 恐 ( おそ )れずに戦える者たちだけを信じるべきなのだ! あんなヒョロヒョロの 小 ( こ ) 僧 ( ぞう )など、信じられるか!! 」 「父上……」 「ああ?」 「いえ、その……」 黙 ( だま )っていることが、難しくなってきました。 そして、わかりました。 わたしは、自分が父上に 怒 ( おこ )られることは慣れています。 「……父上、お願いです。 それ以上、 侮 ( ぶ ) 辱 ( じよく )を口にするのはおやめください」 わたしは必死の思いでそうお願いしました。 それでも父上は、まるで笑えない 冗 ( じよう ) 談 ( だん )を耳にしたかのように、 一 ( いつ ) 笑 ( しよう )に付しただけでした。 「これくらいの 侮 ( ぶ ) 辱 ( じよく )がなんだというのだ。 お前は私がウィスカーやデュケナン大司教へ敬意を 払 ( はら )えと、何度口にしても聞かなかった。 あんなしみったれた 小 ( こ ) 僧 ( ぞう )を 馬 ( ば ) 鹿 ( か )にするくらいが、なんだというのだ!」 「……わたしは、父上の 仰 ( おつしや )るとおりにしてきました。 礼 ( れい ) 儀 ( ぎ )作法を学び、国に 尽 ( つ )くすことを学びました。 ウィスカー 侯 ( こう ) 爵 ( しやく )にも、デュケナン大司教にも、学んだところから外れるような態度を取ったことはありません。 敬意を 払 ( はら )うようにも努めました。 わたし個人ができるだけのことはしてきました。 王室としては、 受 ( う )け 容 ( い )れることが難しい場面があったかもしれません。 」 「思っています。 ちがうのですか」 「よく考えよこの 馬 ( ば ) 鹿 ( か )者が!! 」 「これでも考えています。 考えたうえで、わからないのです」 わたしが口を開くと、このようになります。 父上のお言葉は本当に難解で、わたしが返事をするだけでお 怒 ( いか )りに 触 ( ふ )れてしまうのです。 それでも、今日は止められませんでした。 「父上の 仰 ( おつしや )りようは、あまりに 理 ( り ) 不 ( ふ ) 尽 ( じん )ではありませんか? ナオキさんは、この国の 窮 ( きゆう ) 状 ( じよう )を理解したうえで、わたしに協力してくださっています。 不利を承知でファヴェールに加勢してくださる勇気は、父上から見ても好ましいはずです。 ちがうのですか?」 「好ましいはずがあるか! あのような 魔 ( ま ) 術 ( じゆつ )士のせいで、教会との約束を破ったのだろう! その行いが神の 怒 ( いか )りを買わずにいると、どうして思える!! お前は父を天上の国ではなく、 冥 ( めい ) 府 ( ふ )の底へ 投 ( な )げ 込 ( こ )もうとしているのだぞ! あの 小 ( こ ) 賢 ( ざか )しいクソ 魔 ( ま ) 術 ( じゆつ )士を、王家の 懐 ( ふところ )に入りこませたのだ!! 一 ( いつ ) 瞬 ( しゆん )ですが、頭が真っ白になっていました。 「…………」 「…………」 重苦しい 沈 ( ちん ) 黙 ( もく )が、まるで氷のような冷たさで降りてきていました。 じろりとした父上の目は、もはや敵を見るような 冷 ( れい ) 酷 ( こく )さすら宿しています。 「いま……いま、なんと言った? この父に、向かって!」 衝 ( しよう ) 動 ( どう )的だったとはいえ、やったことは無かったことにはなりません。 ですから、わたしは深々と頭を下げて、 「すみません。 わたしは……いまは、父上と話さないほうがよろしいと思います」 するりと一歩下がります。 逃 ( に )げ 出 ( だ )すことにしました。 病の 発 ( ほつ ) 作 ( さ )です。 」 使用人たちが 慌 ( あわ )てて 駆 ( か )け 寄 ( よ )って、その身体を支えます。 「父上、お願いですから、もっとご自分の身を大事にしてください。 ……わたしがいては健康に悪くなりそうですから、失礼します」 心配ではありましたが、わたしを近寄らせたくないということは、 荒 ( あら )い息をしながらも 鋭 ( するど )い眼光を 崩 ( くず )さない父上のお顔からわかりました。 痛む 喉 ( のど )と心を 抱 ( かか )えたまま、わたしは王宮から立ち去りました。

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[ラノベ] 数字で救う!弱小国家を通常よりも安い値段で読む方法 あらすじ・感想

数字 で 救う 弱小 国家

概要 よりより刊行された、異ナシ、ナシ、頭だけでを救う戦記である。 :1巻2巻の重版決定。 :再重版決定。 :化決定。 (進行中)• :2・3巻が重版決定。 あらすじ 『数字』で学ぶ、の勝ち方。 ェールの・は悩んでいた。 隣との緊が高まり、の気配がちらつき始めた今、が低い自を守るにはどうすればよいか。 王は病に倒れ、 頼みの綱の臣たちも、前時代的な「戦いの栄誉」ばかりを重視し、 を守る具体案をも持たないまま。 このままェールは滅ぶのか……。 しかし、そんな時、の前にある人物が現れた。 者の祖を持ち、幼少期からの才を発揮してまで進むが、祖の死をはじめ紆余曲折あった結果に甘んじている。 引越しのの中に、あるに巻き込まれて・・・・・・。 本作の。 ェール王の一人。 を間近に控えたの船取りを行う。 年齢不相応な知性と分析を持つが、古き戦いの伝統を重んじる臣達は言うことを聞かず、の行く末を憂れいる日々を送る。 関連静画 関連商品 小説 コミカライズ 外部リンク• (第1巻収録:序章・第1章〜2章までで読める)• - () 関連項目•

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